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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科68巻10号

2014年10月発行

文献概要

臨床報告 カラー臨床報告

シクロスポリン全身治療が奏効した春季カタルの1例

著者: 稲葉万弓1 酒井勉1 高階博嗣1 伊藤正臣1 田中聡1 西本文俊1 葛西梢1 高木真由1 常岡寛1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学医学部眼科学講座

ページ範囲:P.1491 - P.1495

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要約 目的:眼局所療法に反応せず,シクロスポリンの経口投与が奏効した春季カタルの症例の報告。症例:28歳男性が両眼の瘙痒感と異物感で受診した。1年前に左眼の水晶体再建術が行われ,1年前からアトピー性皮膚炎に対して加療中であった。所見:矯正視力は右1.2,左0.7で,両眼の瞼結膜に巨大乳頭があった。右眼に皮質白内障があり,左眼は眼内レンズ挿入眼であった。全身皮膚に瘙痒感を伴う皮疹があった。両眼にオロパタジン,左眼にデキサメタゾンを点眼した。眼所見は改善せず,左眼眼圧が上昇し,トラバタンズ点眼に切り替えた。初診から9か月後に皮膚科でシクロスポリン内服を開始し,眼所見が改善したが,1か月後に内服を中断した。1年後にシクロスポリン内服が再開され,結膜の巨大乳頭と角膜プラークは消失した。以後44か月後の現在までシクロスポリン内服を継続中で,眼病変の再発悪化はない。結論:アトピー性皮膚炎に併発した春季カタルに対し,シクロスポリン内服が奏効した。

参考文献

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2)古川福実・金澤伸雄・三木田直哉:アトピー性皮膚炎に対するシクロスポリン療法.皮膚病診療 34:83-88,2012
3)韋 令子・神谷和孝・清水公也:重症春季カタルに対しタクロリムス点眼液を使用した1例.眼臨紀 4:16-19,2011
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5)Gokhale NS, Samant R, Sharma V:Oral cyclosporine therapy for refractory severe vernal keratoconjunctivitis. Indian J Ophthalmol 60:220-223, 2012
6)高村悦子・内尾英一・海老原伸行・他:春季カタルに対するシクロスポリン点眼液0.1%の全例調査.日眼会誌 115:508-515,2011
7)五十嵐淳之・中川秀己・瀧川雅浩・他:アトピー性皮膚炎治療におけるシクロスポリンMEPCの使用指針.臨床皮膚科 63:1049-1054,2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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