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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科68巻10号

2014年10月発行

文献概要

書評

《眼科臨床エキスパート》黄斑疾患診療A to Z

著者: 髙橋寛二1

所属機関: 1関西医科大

ページ範囲:P.1496 - P.1496

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 わが国の黄斑疾患学の二大碩学,岸 章治教授,𠮷村長久教授の手による『黄斑疾患診療A to Z』が上梓された。本書は眼科臨床エキスパートシリーズの1冊として編集されたものである。

 近年,黄斑疾患学はすさまじい勢いで進歩を遂げ,また診療に携わる眼科医の数も広がりを見せている。評者が黄斑疾患の診療に携わるようになったのは1980年代後半であったが,当時,加齢黄斑変性の治療はレーザー光凝固しかなく,中心窩下新生血管を中心窩ごと凝固していた。その頃,黄斑外来は,視力がほとんど改善しない患者ばかりを診療していたため,密かに「ため息外来」と呼ばれていたものである。当時,日大の松井瑞夫・湯澤美都子両先生による『図説 黄斑部疾患』がすでに出版されてはいたが,黄斑疾患の専門書はまだ少なく,加齢黄斑変性はわが国ではマイナーな疾患であった。その後,わが国でも加齢黄斑変性が増加し,疾患に注目が集まるに従って黄斑疾患に興味を持つ眼科医が増加し始めた。さらにOCT,抗VEGF療法をはじめとする診断・治療の急速な進歩も相まって,若い有望な眼科医たちもこぞって黄斑疾患の診療に携わるようになり,加齢黄斑変性は学会でも「華」の疾患の一つとなった。本書はこのような黄斑疾患学の進歩をひしひしと実感させてくれる新しいスタンダードテキストといえる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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