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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科68巻10号

2014年10月発行

文献概要

臨床報告

心因性視覚障害をもつ小児への臨床心理的介入の試み

著者: 小野田直子1 小野木陽子1 清澤源弘12

所属機関: 1清澤眼科医院 2東京医科歯科大学眼科学教室

ページ範囲:P.1503 - P.1507

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要約 目的:心因性視覚障害の小児に対する,臨床心理士による面接の試みについて報告する。対象と方法:心因性視覚障害と診断され,臨床心理士による面接を行った小児32例。面接は,独立した部屋にて多くは親子同席で1回30分程度実施した。視機能改善までに要した期間と本疾患への影響要因について分析した。結果:対象の72%に改善がみられた。診断から改善までの期間は,視力が約9か月,視野が約7か月で,臨床心理士の介入から改善までの期間はそれぞれ約4か月,約3か月であった。本疾患への影響要因としては,兄弟関係,友人関係が多かった。結論:臨床心理士による患児やその親への心理・社会的視点からの介入が,視機能改善までの期間を短縮する可能性を確認した。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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