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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科68巻12号

2014年11月発行

文庫の窓から

『世医得効方』

著者: 中泉行弘1 林尋子1 安部郁子1

所属機関: 1研医会

ページ範囲:P.1638 - P.1642

文献概要

 『世医得効方』は元代の医学者,危亦林(1277〜1347)が著した医方書である。危亦林は南豊(現在の江西省)の生まれ,字を達斎という。内科,婦人科,小児科,眼科のほか,骨折や脱臼の治療にも通じていたと伝えられ,現在の外科学や歯科の知識も持っていたようである。その序は1337年に書かれているが,古来の医方があまりに多く「一証而百方具」というありさまであるので,これを『聖済総録』の分類に倣って13科に分け,5代にわたって伝えられてきた秘方を加えてこの本をまとめたと書かれている。

 序文が書かれてから8年ほど後,江西医学太医院の審査を経て至正5年(1345)『世医得効方』は刊行された。自身も医学教授を務めていたといわれ,代々続く医師の家の人物が,わが家に伝わる秘方と文献とを駆使して,後学のためにわかりやすい医書を編纂しようと思い立ったというところであろうか。

参考文献

1)三木 栄:『朝鮮醫書誌』.大阪(非売品),1956
2)三木 栄:『朝鮮醫學史及疾病史』.大阪(自家出版500部),1963
3)岡西為人:『中国醫書本草考』.井上書店,1974
4)伊東弥恵治・鈴木正夫訳:『ススルタ大医典』第3巻.日本医史学会,北沢書店,東京,1974
5)森田憲司:『元代知識人と地域社會』(汲古叢書53).汲古書院,東京,2004
6)胡国臣,許敬生:唐宋金元名医全書大成『危亦林』.中国中医薬出版社,北京,2006
7)真柳 誠:「日韓越の医学と中国医書」(『日本医史学雑誌』56巻2号151-159頁2010年 同年10月11日に一部補訂/第111回日本医史学会総会・学術大会,会長講演,水戸市・茨城大学人文学部講義棟,2010年6月12日)
8)山野智恵:「ナーガールジュナと医術—『龍樹眼論』の成立と展開」.蓮花寺佛教研究所紀要(4):201-177,2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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