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雑誌目次

雑誌文献

臨床眼科68巻2号

2014年02月発行

雑誌目次

特集 ロービジョンケアの基本をマスターしよう

ロービジョンケアの対象となる疾患とその特徴

著者: 西田朋美

ページ範囲:P.134 - P.140

はじめに

 見えづらさで困っている患者へロービジョンケアの導入を考える場合,患者背景とニーズの把握は基本的かつ重要項目である。患者の年代,家族構成,社会での所属(就学・就労など),受障期間などと並び,見えづらさの原因となっている疾患について正しく知ることはロービジョンケアを進めていくうえで欠かせない情報となる。疾患の種類によって見え方が異なり,病状に応じて医学的治療を最優先させることもある。また,疾患によっては進行や遺伝を考慮する必要もあり,そのことで不安を強める患者も少なくない。

 本稿では,わが国における代表的な視覚障害の原因疾患を挙げ,それぞれの疾患の特徴をロービジョンケアという観点からまとめて解説していく。実際には,同じ疾患であっても患者各々で行うべきロービジョンケアは異なり,重複した複数の疾患で見えづらくなっているケースもありうる。あくまでも,各疾患でぜひ押さえておきたいポイントに触れ,今後のロービジョンケアに役立てていただきたい。

障害告知の方法とタイミング

著者: 仲泊聡

ページ範囲:P.142 - P.147

はじめに

 治療の限界を最も早く知る立場にいる眼科医が視覚リハビリテーションへの導入をしなければ,視覚に障害をもつ者はいたずらに無為の日々を送ることになる。そして,障害告知はその契機になる。しかし,その目的が達成できるのなら,少なくとも自分がされるほうの立場であったなら,ソフトランディングさせて欲しいとも思う。では,障害告知の意味とは,そしてその目的は一体何なのだろう。告知をする以上,その目的が何であれ,患者の事後の人生にとって有益になることでなければその意義はない。

 視覚障害告知の目的は,患者の行動をそれまでの治療に専念するというものから,治療とは異なる方法で視機能低下に対処し,生活を新しい様式と価値観でスタートさせるように変容させることである。それなら,この目的を告知なしに実現できたなら,必ずしも告知は必要ではないだろう。しかし,実際にはそれが必要な場合が少なくない。視覚障害の場合,それは,身体障害者手帳(以下,手帳)の取得を要する場合に生じることが多い。手帳取得の要件には,視機能低下の基準だけではなく,その永続性が明記されている。したがって,手帳取得の斡旋は,通常そのまま障害の告知になる。

 障害告知に対する価値観は,時代や立場さらには人生観や死生観によりきわめて多様であり,画一的ではない。本稿では,視覚障害の告知をすることになった場合,どのような点に配慮すべきかについて私見を述べたい。そして,それをより深く理解していただくために,まず,告知に対する考え方の歴史から紹介する。

外来ロービジョンケアでできること

著者: 陳進志

ページ範囲:P.148 - P.153

眼科外来におけるロービジョンケア:病院か? クリニックか?(専門外来,一般外来)

 ロービジョンケアの必要性は以前から叫ばれているが,今でもあまり行われていないようである。本稿では,10年ほど前からロービジョンケアらしきものを行っている一開業医として,自分の経験を中心に普段の外来でどんなことができるか,これからロービジョンケアを行う予定の先生を対象に考えてみたいと思う。

社会資源の効果的活用のための基礎知識

著者: 永井春彦

ページ範囲:P.154 - P.160

はじめに

 眼科医療のなかでのロービジョンケアは,患者の保有視機能評価やその活用のための視覚補助具の選定・使用訓練など,いわゆるvision enhancementの領域に偏りがちである。これは眼科医や視能訓練士の職能的な専門性や臨床的な興味の集中する方向性を考えれば当然のことであり,また福祉・教育・行政など多分野の共同としての広義のロービジョンケアのなかで,眼科医療分野が責任をもって担当すべき内容でもある。しかし,ロービジョン者のニーズは,生活の各部面においてさまざまなかたちで生じるものであり,生活全体をケアの対象と考える場合,医療分野で対応可能な内容だけではケアが完結しないことも多く,さまざまな社会資源との連携を必要とする。社会資源の効果的活用のためには,ロービジョンケアの入口に位置する眼科医や眼科医療スタッフが,その全体像を把握し,当事者が必要とするところに適切に結びつくよう橋渡しをすることが大切である。

代表的なニーズとその対処法

著者: 斉之平真弓

ページ範囲:P.162 - P.173

はじめに

 ニーズ(needs)は必要,要求,需要という意味であるが,ロービジョンケアにおけるニーズとは「ロービジョン困難に対する要望」のことを意味する。ロービジョンケアとは患者のニーズを引き出し,その対処法を考えていくリハビリテーションである。限られた時間のなかで,視覚障害者が抱える多様なニーズを把握するには,「ロービジョンケア質問表」を用いると効率的である。質問表には決まった形式はないが,「運転の有無」や「ガス器具の取り扱い」は必ず質問項目に含め,生活面の安全性を確認することが重要である(表1)。

 視覚障害者の代表的なニーズとして,①読み・書きがしたい,②羞明を防ぎたい,③心の不安を軽減したい,がある。本稿ではこの3つのニーズに対し具体的に対処法を述べていく。

連載 今月の話題

緑内障インプラント手術

著者: 千原悦夫

ページ範囲:P.127 - P.133

 緑内障インプラント手術(緑内障学会の正式名称はチューブシャント手術)は2012年4月に保険収載され,それ以後急激に手術件数が増えている。このように増える理由はこの手術の安全性の高さが認識され,しかも難治性緑内障眼において原発開放隅角緑内障の初回手術成績に匹敵する手術成績を得られることが認識されるようになってきたためであろう。この手術はロングチューブとミニチューブというメカニズムが異なった手術を包含しており,特にロングチューブはその眼圧経過と合併症が従来のトラベクレクトミーと大きく異なる。チューブシャント手術を安全に行うためにはその特徴を理解し合併症に対する知識をもつことが必要であろう。

硝子体手術アジュバント―知っておきたいコツと落とし穴・第1回【新連載】

t-PA療法

著者: 瓶井資弘

ページ範囲:P.174 - P.177

コツ

1.フィブリン溶解には最低30分(できれば1時間)は待つ。

2.手術の数時間前に硝子体内投与するとよい。

3.器質化した出血は溶解できないので,出血後1か月以内を目安にする。

4.シリンジやアンプルに分注し,-80℃で保存する。


落とし穴

1.網膜毒性があるので,投与量は50μg以下にする。

2.フィブリン分解産物は強い化走性をもつので,できれば洗浄する。

3.担癌(特に肝癌)患者への投与の際には,出血が止まらないことがあるので,止血系の確認を行う。

4.家庭用冷蔵庫の冷凍室での保存は不適切。

何が見える? 何がわかる? OCT・第13回

黄斑ジストロフィにも使えるOCTの知識―若年性網膜分離症

著者: 鈴木幸彦

ページ範囲:P.178 - P.182

Point

◎OCTは若年性網膜分離症の所見を詳細に捉えることができ,診断・経過観察に不可欠である。

◎内顆粒層を中心に分離所見がみられることが多いが,他のさまざまな層でも分離していることがある。

◎経過中に分離の状態に変化がみられることがあり,硝子体手術の適応を検討すべき症例も存在しうるので,OCTでの慎重な経過観察を要する。

眼科図譜・366

網膜動脈ループ形成症に網膜分離症を合併した1例

著者: 岡本紀夫 ,   張野正誉 ,   樫本良亮

ページ範囲:P.184 - P.185

緒言

 網膜動脈ループ形成症は先天的なものであり偶然に発見されることが多い1,2)。ほとんどが無症状なことが多く,検診や網膜血管閉塞症や硝子体出血を発症して発見されることがある。一方の網膜分離症は,光干渉断層計(optical coherence tomograph:以下,OCT)により診断が容易になった。今回,片眼の網膜動脈ループ形成症に網膜分離症を合併した1例を経験したので報告する。

今月の表紙

逆転現象

著者: 反保宏信 ,   坂本泰二

ページ範囲:P.186 - P.186

 症例は54歳,女性。1週間前に「右眼に見えない部分がある」と近医を受診,その後増悪したため当科紹介となった。初診時の視力は右(0.9),左(1.2)で,眼圧は右13mmHg,左17mmHgであった。両眼の眼底に1/5~1/2乳頭径大の白斑を伴う網脈絡膜炎を認めた。フルオレセイン蛍光造影(fluorescein angiography:以下,FA)では初期に斑状低蛍光を呈したが,後期には斑状過蛍光を呈した。インドシアニングリーン蛍光造影(indocyanine green angiography:IA)では初期にFAよりも明瞭に斑状低蛍光を観察することができ,後期ではFAよりも広範囲でより多数の斑状低蛍光が確認された。FAの逆転現象から急性後部多発性小板状網膜色素上皮症(acute posterior multifocal placoid pigment epitheliopathy:APMPPE)と診断された。3か月後には眼底の白斑は消失し,視力も両眼(1.2)となった。

 撮影にはHeidelberg社のHRA2を用い,初期と後期の部位がずれないよう留意した。

やさしい目で きびしい目で・170

変わっていくこと,変えないこと

著者: 堀純子

ページ範囲:P.189 - P.189

臨床報告

外斜視術後周期性内斜視の1例

著者: 岩佐真紀 ,   村木早苗 ,   東山智明 ,   西田保裕 ,   大路正人

ページ範囲:P.207 - P.211

要約 目的:外斜視に対する手術後に生じた周期性内斜視の1症例の報告。症例:4歳11か月の女児に2年前から眼位異常があった。間欠性外斜視として紹介受診した。視力は左右眼とも1.5で,プリズムカバーテストで近見-35Δ,遠見-30Δの間欠性外斜視があった。左眼の内直筋5mmの短縮と外直筋5mmの後転を行った。術後1か月に遠見+4Δの内斜視と左眼外転不全が生じ,術後6か月で遠見+14Δの内斜視となり,左眼の外転不全があった。正位と内斜視の眼位が交互に出現することから,周期性内斜視と診断した。内斜視が次第に優位となり,初回の手術から8か月後に左眼の外直筋を本来の付着部に戻した。以後は良好な眼位になり,周期性は消失した。結論:間欠性外斜視に対して手術を行い,過矯正になり,外転不全が残存した症例に周期性内斜視としての再手術を行い,好結果を得た。

新しい視能訓練装置を併用した間欠性外斜視に対する視能訓練効果

著者: 戸塚和子 ,   半田知也 ,   後関利明 ,   池田哲也 ,   石川均 ,   清水公也

ページ範囲:P.213 - P.217

要約 目的:間欠性外斜視に対し,従来の方法に加え,新しい装置を用いて視能訓練を行った結果の報告。対象と方法:間欠性外斜視10例を対象とした。年齢は6~16歳,平均8歳である。矯正視力はすべて1.2で,3~12か月の訓練を行った。視能訓練には,3Dディスプレイ,映像制御と記録解析用コンピュータ,被験者用応答入力装置,偏光眼鏡による両眼分離装置などを用いた。結果:8例に抑制除去と融像改善効果があった。融像幅の中央値は,治療前の6Δが70Δに改善した。斜視角40Δ以上,または上下偏位のある2例には訓練効果がなかった。結論:今回の訓練装置では患児の集中が得られ,従来の方法と併用することで,抑制除去と融像改善効果があった。

原発開放隅角緑内障患者に対する0.03%ビマトプロスト切り替えによる眼圧下降効果と安全性の検討

著者: 仲昌彦 ,   山本麻梨亜 ,   金学海 ,   横山千秋 ,   石島漢 ,   北市伸義 ,   大口剛司 ,   新田卓也 ,   新明康弘 ,   陳進輝 ,   石田晋

ページ範囲:P.219 - P.224

要約 目的:プロスタグランジン関連薬をビマトプロストへ変更した際の眼圧下降効果と安全性の報告。対象と方法:開放隅角緑内障患者33例57眼を対象とした。男性27眼,女性30眼で,平均年齢は67歳である。全例が,プロスタグランジン関連薬およびβ遮断薬を含む2種類以上の点眼薬で加療中であった。点眼を0.03%ビマトプロストに変更し,1か月と3か月に眼圧と副作用を評価した。結果:平均眼圧は,変更前15.1±3.5mmHg,1か月後14.2±2.8mmHg,3か月後14.0±2.9mmHgであり,変更後いずれも有意に低下した(p<0.01)。変更前の眼圧が15mmHg以上の症例のみで有意な眼圧低下があった(p<0.01)。有意な眼圧下降は,変更前にラタノプロストまたはタフルプロストを点眼中の症例のみにあった(p<0.01)。43例中8例(19%)に結膜充血が生じた。結論:他剤で点眼加療中の開放隅角緑内障に対し,ビマトプロスト点眼に切り替えた結果,1か月と3か月後に有意な眼圧下降が得られた。結膜充血が主な副作用であった。

14年間経過観察した正常眼圧緑内障を合併するsuperior segmental optic hypoplasiaの1例

著者: 西野和明 ,   吉田富士子 ,   新田朱里 ,   齋藤三恵子 ,   齋藤一宇

ページ範囲:P.225 - P.233

要約 目的:正常眼圧緑内障を伴ったsuperior segment optic hypoplasia症例の14年間の経過報告。症例:59歳男性が右眼の飛蚊症で受診した。-3.75Dによる矯正視力は,左右眼とも1.0であった。眼圧は左右眼とも17mmHgであった。右眼の外上方に2個の弁状裂孔があり,レーザー光凝固を行った。右眼の乳頭縁下耳側の縁(rim)が薄く,これに相当する上方視野の感度が低下していた。これに加え,正常眼圧緑内障によると推定される下方視野に感度低下があった。右眼を正常眼圧緑内障を伴ったsuperior segment optic hypoplasiaと診断した。14年間の経過観察で,正常眼圧緑内障による視野欠損はわずかに進行し,superior segment optic hypoplasiaによる視野には変化がなかった。結論:14年間の経過観察で,正常眼圧緑内障による視野欠損はわずかに進行し,superior segment optic hypoplasiaによる視野には変化がなかった。

カラー臨床報告

黄斑部にみられた先天性網膜色素上皮肥大

著者: 玉井一司 ,   永井博之 ,   山田麻里

ページ範囲:P.193 - P.196

要約 目的:黄斑部にみられた先天性網膜色素上皮肥大の報告。症例:15歳女性が左眼黄斑部の異常を指摘され受診した。所見:矯正視力は右1.2,左0.5で,左眼底黄斑部に脱色素斑に囲まれた扁平な円形の色素斑がみられた。光干渉断層計で網膜色素上皮の肥厚,視細胞層の障害がみられた。眼底自発蛍光では,色素斑部は均一な低蛍光を呈し,脱色素斑は過蛍光を示した。黄斑部の先天性網膜色素上皮肥大と診断し,経過観察している。結論:先天性網膜色素上皮肥大が黄斑部に生じ,視力が比較的保たれていることがある。

特異な病理組織像を呈した角膜上皮異形成の1例

著者: 本橋良祐 ,   森秀樹 ,   永井毅 ,   後藤浩

ページ範囲:P.197 - P.200

要約 目的:特異な病理組織像を呈した角膜上皮異形成の1症例の報告。症例:70歳男性が1か月前からの進行性の右眼異物感と視力低下で受診した。矯正視力は右0.3,左1.2で,右眼の角膜上皮内に限局する白色混濁と隆起があった。病巣を切除し,細胞診でわずかな角膜上皮異型性があった。1か月後に角膜の白色病変が再発し,再切除をした。病理検査で,前回とは異なる上皮異形成があり,非典型的角膜上皮異形成と診断した。マイトマイシンC点眼を行い,以後8か月間,再発はない。結論:特異な病理組織所見を呈する角膜上皮異形成に,病変切除とマイトマイシンC点眼が奏効した。

眼トキソプラズマ症に続発した黄斑円孔の自然閉鎖例

著者: 陣上陽子 ,   尾崎絢子 ,   林寿子 ,   蔵本直史 ,   秋田穣 ,   松本美保 ,   栗山晶治

ページ範囲:P.201 - P.205

要約 目的:眼トキソプラズマ症に続発した黄斑円孔が自然閉鎖した症例の報告。症例:55歳男性が3週間前からの右眼中心暗点で受診した。矯正視力は右0.2,左1.2で,両眼とも-3.5Dの近視があった。右眼の黄斑近傍に1.5乳頭径大の滲出斑があり,血清の抗トキソプラズマ値が5,120倍で,眼トキソプラズマ症と診断し,アセチルスピラマイシンを経口投与した。2週間後に黄斑円孔が生じた。視力は不変であった。3か月後に黄斑円孔は自然閉鎖し,光干渉断層計(optical coherence tomography:OCT)で観察された中心窩外層の剝離様所見はその3か月後に消失した。最終視力は0.3であった。結論:眼トキソプラズマに併発した黄斑円孔は,自然閉鎖することがある。

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欧文目次

ページ範囲:P.125 - P.125

ことば・ことば・ことば 柘榴石

ページ範囲:P.192 - P.192

 学生の時代には,「むつかしい病名」を面白がって覚えたものです。ところがせっかく暗記したのに,「癤」(セツ)と「癰」(ヨウ)だけは一度も見たことがありません。べつに凄い疾患ではなく,英語ならfuruncleとcarbuncle,ドイツ語ならFurunkelとKarbunkelです。

 「癤」は,「毛包炎が拡大し,周囲の結合織に可能性炎症が波及したもの」と定義されています。これが顔面にできたのが面庁です。「癤がさらに拡大したもの」が「癰」で,疼痛や発熱を伴うことがあります。

べらどんな 半熟卵

著者:

ページ範囲:P.196 - P.196

 ある先生から手紙をいただいた。「レーザー虹彩切開術(LI)をしたら虹彩が炭化した。どのようなときに炭化するのか」という設問である。

 このような質問には答えにくい。患者の病状を列記し,診断を求められるのと似ている。それでも20年前に書いた本の読者なので,次のように返事した。

べらどんな アイシャドー

著者:

ページ範囲:P.211 - P.211

 東京のデパートでは化粧品売り場が必ず一階にある。日本中どこでも同じではと思う。化粧品はよほど利益が大きいらしい。

 化粧品の中でも口紅は歴史が古いように思われる。イギリスにはオックスフォード英語辞典(OED)という大きな辞書があり,記録が残っているすべての単語について,いつ最初に使われたかを教えてくれる。これでlipstickを引くと,「初出は1880年」とある。

学会・研究会 ご案内

ページ範囲:P.234 - P.239

投稿規定

ページ範囲:P.240 - P.241

希望掲載欄

ページ範囲:P.242 - P.242

著作権譲渡同意書

ページ範囲:P.243 - P.243

アンケート

ページ範囲:P.244 - P.244

次号予告

ページ範囲:P.245 - P.245

あとがき

著者: 坂本泰二

ページ範囲:P.246 - P.246

 最近,眼科においてロービジョンケアが注目されています。その理由の一つとして,ロービジョン検査判断料が保険収載されたことはあるでしょうが,眼科医にその必要性が強く認識されてきたことが大きいと思われます。治療技術が大幅に進歩して,以前なら失明した患者さんの多くが失明を免れるようになってきました。しかし,それでも視力を失う方は少なくないですし,超高齢化社会においては,その絶対数は増加しているようです。再生医療などは,今後の失明者数を減少させるために大きな役割を果たすでしょうが,現時点で失明されている方の日常生活を改善させるには,まだ遠いと言えます。ロービジョンケアというのは,今までは決して派手な領域ではありませんでした。しかし,眼前の苦しみを取り除くという医療の本質から言えば,まさに求められている医療であり,今後は大変重要な領域になると考えられます。今回の特集では,ロービジョンケアの背景,問題点,具体的方法がわかりやすく解説されています。この領域に長年関わってこられた先生方に深く敬意を表すとともに,本特集を読んで,これからこの領域に積極的に関わろうという方が増えることを切に願います。

基本情報

臨床眼科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1308

印刷版ISSN 0370-5579

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