臨床眼科68巻2号

2014年02月発行

連載 硝子体手術アジュバント―知っておきたいコツと落とし穴・第1回【新連載】

t-PA療法

著者： 瓶井資弘¹

所属機関： ¹大阪大学大学院医学系研究科眼科学教室

ページ範囲：P.174 - P.177

文献概要

コツ

1．フィブリン溶解には最低30分（できれば1時間）は待つ。

2．手術の数時間前に硝子体内投与するとよい。

3．器質化した出血は溶解できないので，出血後1か月以内を目安にする。

4．シリンジやアンプルに分注し，－80℃で保存する。


落とし穴

1．網膜毒性があるので，投与量は50μg以下にする。

2．フィブリン分解産物は強い化走性をもつので，できれば洗浄する。

3．担癌（特に肝癌）患者への投与の際には，出血が止まらないことがあるので，止血系の確認を行う。

4．家庭用冷蔵庫の冷凍室での保存は不適切。

参考文献

・上田朋子・瓶井資弘：眼内tPA注入．寺崎浩子（編）：網膜硝子体診療update．96-100，医学書院，東京，2008

・北岡　隆：加齢黄斑変性―脈絡膜新生血管・黄斑下大量出血．小椋祐一朗，門之園一明（編）：眼手術学8「網膜・硝子体Ⅱ」．171-179，文光堂，東京，2012

・Yamamoto T, Kamei M, Kunavisarut P et al：Increased retinal toxicity of intravitreal tissue plasminogen activator in a central retinal vein occlusion model. Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol　246：509-514, 2008

・Kamei M, Tano Y：Tissue plasminogen activator-assisted vitreoretinal surgery：surgical drainage of submacular hemorrhage. Dev Ophthalmol　44：82-88, 2009

・Keyt BA, Paoni NF, Refino CJ et al：A faster-acring and more potent form of tissue plasminogen activator. Proc Natl Acad Sci U S A　91：3670-3674, 1994