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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科68巻3号

2014年03月発行

文献概要

特集 第67回日本臨床眼科学会講演集(1) 原著

血液透析時の眼圧上昇に血液濾過が有効であった1例

著者: 南川裕香1 杉崎顕史1 國方俊雄2 田邊樹郎1 藤野雄次郎1

所属機関: 1東京厚生年金病院眼科 2日立総合病院眼科

ページ範囲:P.351 - P.354

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要約 目的:血液透析時に眼痛があり,透析後に眼圧が顕著に上昇する症例に,血液濾過への変更が奏効した報告。症例:57歳の男性が血液透析中に生じる右眼の疼痛で受診した。32歳から糖尿病があり,39歳から囊胞腎による慢性腎不全で血液透析を開始し,42歳から拡張性心筋症,49歳の時に小脳出血があった。母,兄,姉が囊胞腎による腎不全で死亡している。所見と経過:透析前は無症状で,矯正視力は両眼とも1.2であり,眼圧は右20mmHg,左15mmHgであった。眼底に糖尿病網膜症はなかった。眼圧は透析直後に右30mmHg,左21mmHgに上昇した。グリセオール200mlを点滴で併用した。透析直後の眼圧上昇には変化がなかった。初診から3か月後に血液透析を血液濾過に変更した。血液浄化前後の眼圧は14~20mmHgの範囲におさまるようになり,眼痛はなくなった。初診から20か月後に不帰の転帰をとった。結論:血液透析時の眼圧上昇に,血液濾過への変更が奏効した。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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