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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科68巻3号

2014年03月発行

文献概要

臨床報告

陳旧性外傷性黄斑円孔眼に発症した黄斑円孔網膜剝離

著者: 竹田朋代1 家久来啓吾2 板野瑞穂2 池田恒彦2

所属機関: 1北大阪警察病院眼科 2大阪医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.385 - P.390

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要約 目的:鈍性外傷による黄斑円孔が生じてから長期間後に黄斑円孔網膜剝離が発症した症例の報告。症例:67歳男性が3日前からの右眼視力低下で受診した。17歳の時に野球ボールが右眼に当たり,外傷性黄斑円孔と診断されていた。7年前にも同じ診断を受け,矯正視力は0.01であった。経過:矯正視力は右0.01,左1.0で,強い屈折異常はなく,眼圧は右13mmHg,左15mmHgであった。右眼に黄斑円孔があり,その下方に胞状網膜剝離があった。硝子体手術を行い,術中所見として後部硝子体は未剝離であった。空気による網膜伸展,眼内レーザー光凝固,ガスタンポナーデにより網膜は復位し,0.02の矯正視力を得た。結論:外傷性黄斑円孔に,しかも50年という長期間後に網膜剝離が続発することは稀有である。本症例では,後部硝子体が未剝離であったことが主な発症要因であったと推定される。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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