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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科68巻3号

2014年03月発行

臨床報告

両眼開放不能症例に対する新作カラーオクルーダー眼鏡のトライアル

著者: 槇千里1 塩川美菜子1 山崎幸加1 松森礼子1 本多聖子1 井上賢治1 若倉雅登1

所属機関: 1井上眼科病院

ページ範囲:P.397 - P.403

文献概要

要約 目的:両眼開放視困難な症例に対してquality of life(QOL)向上を目的に試作したカラーレンズオクルーダー眼鏡を使用し,その装用効果と患者の満足度を検討する。対象と方法:代償不能の複視や両眼視を損なう疾患などにより,両眼開放下で日常生活に困難を生じている29例を対象とした。目的を説明後,上掛け式カラーレンズオクルーダー眼鏡を試用させ,希望者には貸与のうえで2週間以上,日常生活での使用に供し,アンケート調査を行った。結果:約62%の症例で自覚症状改善がえられた。非改善例はいずれも周辺視野や周辺融像の阻害が原因であった。不満が多かったのは外見や装用感であり,のちの改良に役立てた。結論:カラーレンズオクルーダー眼鏡は代償できない複視,混乱視のための両眼開放視困難な患者の両眼を開瞼したまま片眼遮閉ができることでQOL向上に有用である。

参考文献

1)若倉雅登:意外な原因:混乱視,薬剤性,精神病性と眼瞼けいれん.あたらしい眼科 27:621-625,2010
2)井上和香子・高木峰夫・廣川光男・他:半遮閉眼鏡が有効であった動眼神経異所性再生の一例.神眼 26:427-431,2009
3)鈴木利根・杉谷邦子・相馬 睦・他:種々の部分遮閉を併用した眼筋麻痺の光学的治療.神眼 29:270-275,2012
4)三村 治:複視に対する眼鏡処方.眼科 53:1001-1006,2011
5)岡本史樹・大鹿哲郎:視力検査とQuality of Life.あたらし眼科 26:1489-1493,2009
を用いた片眼および両眼開放下の変視量.眼臨紀 1:1001,2008
7)湯沢美智子・鈴鴨よしみ・李 才源・他:加齢黄斑変性のquality of life評価.日眼会誌 108:368-374,2004
8)岡真由美:日常生活評価による後天性眼球運動障害のquality of life特性.臨眼 64:2047-2052,2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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