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連載 硝子体手術アジュバント―知っておきたいコツと落とし穴・第3回
トリアムシノロンアセトニド
著者: 山切啓太1 坂本泰二1
所属機関: 1鹿児島大学大学院医歯学総合研究科眼科学
ページ範囲:P.432 - P.436
文献購入ページに移動1.使用前にシリンジを撹拌することが大切です。この際に,針先を下に向けてシリンジの軸に沿ってゆっくり回転させるようにしておくと,少量の滴下で十分な量が得られます。
2.硝子体腔内に入る前に必ず眼外で少量出してみて,抵抗なくシリンジを押せることを確認したほうがよいです。特に後部硝子体剝離作製時など周辺切除を十分に行っていない状態では,硝子体ゲルが針先を塞いでしまい,押し出す際に抵抗が強く,余計なトラブルの元になることがあります。
3.後極に注入の際は網膜に吹きかけるのではなく,1滴垂らす感覚で皮質の上にそっと乗せる感覚で行うと,散らばり具合が非常によいです。
4.注入量が多すぎた場合でも,必ずしも灌流を止める必要はありません。ただし,硝子体カッターで吸引するのはやや危険な操作であり,灌流が強く流れるためすぐに硝子体腔内全体が混濁し,余計な時間がかかります。バックフラッシュニードルによる受動吸引を用いるほうが丁寧で安全です。
落とし穴
1.一番手前にある硝子体が可視化されるだけなので,ゲルに対して振り掛けるときは硝子体の切除量をある程度予測しながら行うほうがよいです。
2.可視化された硝子体皮質を除去する際には,特にアーケードの周辺側では鑷子で直接把持することが難しく,容易に網膜を損傷するためバックフラッシュニードルの受動吸引でしっかりきっかけを作り,ある程度広い面積で硝子体皮質を浮き上がらせることができてから,硝子体カッターの能動吸引に切り替えたほうが効率はよいです。
参考文献
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