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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科68巻4号

2014年04月発行

文献概要

連載 硝子体手術アジュバント―知っておきたいコツと落とし穴・第3回

トリアムシノロンアセトニド

著者: 山切啓太1 坂本泰二1

所属機関: 1鹿児島大学大学院医歯学総合研究科眼科学

ページ範囲:P.432 - P.436

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コツ

1.使用前にシリンジを撹拌することが大切です。この際に,針先を下に向けてシリンジの軸に沿ってゆっくり回転させるようにしておくと,少量の滴下で十分な量が得られます。

2.硝子体腔内に入る前に必ず眼外で少量出してみて,抵抗なくシリンジを押せることを確認したほうがよいです。特に後部硝子体剝離作製時など周辺切除を十分に行っていない状態では,硝子体ゲルが針先を塞いでしまい,押し出す際に抵抗が強く,余計なトラブルの元になることがあります。

3.後極に注入の際は網膜に吹きかけるのではなく,1滴垂らす感覚で皮質の上にそっと乗せる感覚で行うと,散らばり具合が非常によいです。

4.注入量が多すぎた場合でも,必ずしも灌流を止める必要はありません。ただし,硝子体カッターで吸引するのはやや危険な操作であり,灌流が強く流れるためすぐに硝子体腔内全体が混濁し,余計な時間がかかります。バックフラッシュニードルによる受動吸引を用いるほうが丁寧で安全です。


落とし穴

1.一番手前にある硝子体が可視化されるだけなので,ゲルに対して振り掛けるときは硝子体の切除量をある程度予測しながら行うほうがよいです。

2.可視化された硝子体皮質を除去する際には,特にアーケードの周辺側では鑷子で直接把持することが難しく,容易に網膜を損傷するためバックフラッシュニードルの受動吸引でしっかりきっかけを作り,ある程度広い面積で硝子体皮質を浮き上がらせることができてから,硝子体カッターの能動吸引に切り替えたほうが効率はよいです。

参考文献

1)Sakamoto T, Miyazaki M, Hisatomi T et al:Triamcinolone-assisted pars plana vitrectomy improves the surgical procedures and decreases the postoperative blood-ocular barrier breakdown. Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 240:423-429, 2002
2)吉田宗徳:硝子体手術補助剤 マキュエイド―ケナコルトAに代わる硝子体可視化剤.眼科手術 24:461-464,2011
硝子体内注用40mgの硝子体可視化の使用感向上に関する検証.診療と新薬 49:1329-1332,2010
4)山切啓太・坂本泰二:後部硝子体剝離.小椋祐一郎・門之園一明(編).眼手術学7.網膜・硝子体Ⅰ.pp 200-205,文光堂,東京,2012
5)Yamakiri K, Uchino E, Kimura K et al:Intracameral triamcinolone helps to visualize and remove the vitreous body in anterior chamber in cataract surgery. Am J Ophthalmol 138:650-652, 2004
6)深谷康博:眼科手術補助剤 トリアムシノロンアセトニド(マキュエイド硝子体内注用40mg).千葉県薬剤師会雑誌 57:736-738,2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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