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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科68巻4号

2014年04月発行

文献概要

特集 第67回日本臨床眼科学会講演集(2) 原著

ぶどう膜炎に多発性脳神経麻痺を合併したサルコイドーシスの1例

著者: 三上裕子1 石原麻美1 澁谷悦子1 木村育子1 東山雄一2 飛鳥田有里1 中村聡1 水木信久1

所属機関: 1横浜市立大学医学部眼科学教室 2横浜市立大学医学部神経内科学教室

ページ範囲:P.457 - P.462

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要約 目的:ぶどう膜炎に多発性脳神経麻痺を合併した眼・神経サルコイドーシス症例の報告。症例:34歳女性が1か月前からの右眼霧視で受診した。矯正視力は右1.2,左1.5で,右眼に前房内炎症があり,両眼に角膜後面沈着物と隅角結節,網膜静脈周囲炎があった。胸部X線検査で肺門リンパ節の腫脹があり,経気管支肺生検でサルコイドーシスと診断された。初診時から嗅覚と味覚障害があり,1か月後から左三叉神経の不全麻痺と右顔面神経麻痺が生じた。嗅神経,視神経,三叉神経,顔面神経,舌咽神経,迷走神経の多発性脳神経麻痺と診断された。ステロイドパルス療法を行い,3日目から味覚と嗅覚障害が回復し,続いて眼底所見が改善した。10か月後にすべての脳神経障害が寛解し,以後8か月後の現在まで,眼炎症と神経症状の再発はない。結論:ステロイドパルス療法で,サルコイドーシスによる神経と眼病変が改善した。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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