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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科68巻4号

2014年04月発行

文献概要

特集 第67回日本臨床眼科学会講演集(2) 原著

ヒト生体角膜内皮細胞の動態とスペキュラーマイクロスコープ画像との関係

著者: 松原令1 松原稔1 松原央2

所属機関: 1松原眼科クリニック 2三重大学大学院医学系研究科神経感覚医学講座眼科学

ページ範囲:P.471 - P.476

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要約 目的:ヒト生体角膜内皮細胞の動態とスペキュラーマイクロスコープ画像との関係の報告。対象と方法:縦断的解析群は22~76歳の正常な男性1名,女性7名の両眼を,1週間間隔で2年間角膜中央部内皮を自動解析装置KC4000(コーナン・メディカル社製)で検査した。横断的解析群は3年間に複数回内皮を検査した12~76歳の男性67名,女性223名である。同一眼に共通に出現する細胞群の面積と,辺の長さをディジタイザー法で計測し,測定値の変動を変動率=(最大値-最小値)÷平均値×100で表し,相関係数を検定し,回帰係数で示し,日時の異なる細胞群トレース画を重ねて細胞移動を調べた。結果:変動率は,第1辺長が周囲長の2.5倍で,両者に相関関係がない一方,細胞面積と周囲長が相関する(p=0.02)ことから,細胞は一定の大きさを保ちながら形は常に変化していると考られた。トレース画で細胞の配置に変化はなく,面積の回帰係数が0.01±0.04と低値なことから,内皮細胞の配置は変わらないと推定された。横断的解析群の結果は縦断的解析群の結果を検証した。結論:スペキュラーマイクロスコープ写真の解析から,ヒト生体角膜内皮細胞の尖端面(前房側)は常に変化しているが,基底面(実質側)は固定されていると推測した。

参考文献

1)Maurice DM:Cellular membrane activity in the corneal endothelium of the intact eye. Experimentia 24:1094-1095, 1968
2)Phillips C, Laing R, Yee R:Specular microscopy. Cornea 2nd ed, 261-281, Elsevier Mosby, St. Louis 2005
3)Bernard EM, Henry FE, Michael JL:Review of corneal endothelial specular microscopy for FDA clinical trials of refractive procedures, surgical devices and new intraocular drugs and solutions. Cornea 27:1-16, 2008
4)松原 稔:スペキュラーマイクロスコープ測定誤差と加齢およびコンタクトレンズ装用による角膜内皮細胞の形態変化に関する研究.日コレ誌 54:90-97,2012
5)大原国俊・郡司佳子・高橋 浩・他:非接触性スペキュラーマイクロスコープの簡易細胞形態計測ソフト(センター法)の精度.眼紀 56:328-331,2005
6)大原国俊:ヒト生体角膜内皮の細胞接合変化.日眼会誌 92:705-713,1988
7)鈴木久晴・大原国俊・志和利彦・他:非接触型スペキュラーマイクロスコープによる同一内皮の反復撮影.あたらしい眼科 22:375-377,2005
8)Bergmanson JP:Histopathological analysis of corneal endothelial polymegethism. Conea 11:133-142, 1992

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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