icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科68巻5号

2014年05月発行

文献概要

臨床報告 カラー臨床報告

角膜潰瘍の治療後に生じた薬剤過敏症の1例

著者: 大田遥1 杉本洋輔1 木内良明1

所属機関: 1広島大学大学院医歯薬学総合研究科視覚病態学教室

ページ範囲:P.731 - P.734

文献購入ページに移動
要約 目的:感染性角膜潰瘍の治療中に薬物アレルギーが生じた1例の報告。症例:63歳男性が左眼の眼瞼腫脹で受診した。アトピー性皮膚炎の既往があり,ステロイド外用剤で加療中であった1か月前に左眼の黄色ブドウ球菌による角膜潰瘍と診断され,4種類の抗菌薬の点眼と3種類の抗菌薬の投与を3週間受けた。所見:左眼に上皮下混濁があり,眼底は透見不能であった。細菌感染が眼窩に波及した可能性があり,4種類の抗菌薬の点眼とセファゾリンの点滴を行ったが,眼症状は改善しなかった。パッチテストでセフメノキシム,セファゾリン,アトロピン,バンコマイシンに陽性であり,接触皮膚炎と診断した。それまでの点眼をフルオロメトロンに変更し,プレドニゾロン内服を追加した。角膜潰瘍の再発はなく,眼瞼腫脹と結膜充血は寛解した。結論:本症は点眼アレルギーであった可能性がある。感染症との鑑別が必要であり,パッチテストが診断に有用であった。

参考文献

1)古江増隆・佐伯秀久・古川福実・他:日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎診療ガイドライン.日本皮膚科学会雑誌 118:325-342,2008
2)近間泰一郎・西田輝夫:アトピー性角結膜炎.臨眼 61:484-486,2007
3)鈴木 崇:抗微生物薬局所投与による眼障害.あたらしい眼科 25:425-429,2008
4)高村悦子・内尾英一・海老原伸行・他:アレルギー性結膜疾患診療ガイドライン(第2版).日眼会誌 114:829-870,2010
5)松永佳世子:アトピー性皮膚炎最前線.アトピー性皮膚炎と接触アレルギー.Monthly Book Derma 133:18-23,2007
6)林 孝彦・水木信久:眼薬剤アレルギーと免疫.眼科 77:793-798,2006
7)岩崎琢也:アトピー性皮膚炎の眼合併症.日本医師会雑誌 139:1662-1664,2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら