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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科68巻5号

2014年05月発行

文献概要

臨床報告

Crohn病に合併した網膜中心静脈閉塞症の1症例

著者: 福田宏美1 森秀夫1

所属機関: 1大阪市立総合医療センター眼科

ページ範囲:P.737 - P.740

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要約 目的:加療中のCrohn病患者に網膜中心静脈閉塞症が発症した報告。症例:23歳男性が10日前からの左眼視力低下で紹介受診した。9年前に腹痛と下痢を契機としてCrohn病と診断され,現在までインフリキシマブの経口投与を受けている。30か月前に腸管穿孔が生じ,外科的に処置された。所見:矯正視力は右1.2,左0.3で,左眼には蛍光眼底造影で,網膜血管からの色素漏出と黄斑浮腫を伴う網膜中心静脈閉塞症の所見があった。乳頭血管炎を疑い,プレドニゾロンを経口投与した。1週間後に左眼視力が0.5に改善した。初診から4か月後に自覚的に左眼視力が低下した。腸管の具合からステロイドを減量した。初診から7か月後の蛍光眼底造影では,網膜血管からの色素漏出が減少していた。視力は1.2に改善した。結論:インフリキシマブで加療中のCrohn病の若年の患者に片眼性の網膜中心静脈閉塞症が発症した。プレドニゾロンの経口投与で網膜中心静脈閉塞症は寛解した。

参考文献

1)四元修吾・水木信久:IBDに合併する眼病変とその対策.IBD Research 3:51-54,2009
2)市川仁志・日比紀文:クローン病の病態と治療目標.Modern Physician 27:888-891,2007
3)八尾恒良:Crohn病診断基準(改訂案).厚生労働省特定疾患難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班平成6年度研究業績集.63-66,1995
4)豊田千富・五十嵐弘昌・吉田晃敏・他:クローン病に網膜中心静脈閉塞症を合併した1症例.眼紀 44:475-480,1993
5)米山高仁・高橋久仁子・田澤 豊・他:Crohn病に合併したぶどう膜炎の1症例.眼紀 38:1330-1333,1987

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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