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特集 第67回日本臨床眼科学会講演集(4) 原著
涙囊瘻炎の2例
著者: 渡辺このみ1 渡辺一彦1
所属機関: 1あさひ総合病院眼科
ページ範囲:P.795 - P.797
文献購入ページに移動要約 目的:無症候性の先天性涙囊瘻に感染を生じた2症例の報告。症例:症例1は23歳女性,症例2は48歳男性で,ともに左眼周囲の腫脹,疼痛を訴え受診された。所見:2例とも左眼の内眼角下方が腫脹し,腫脹部に先天性外涙囊瘻がみられた。涙囊瘻はこれまで無症状であった。上下涙点および涙囊瘻からも涙管通水が良好であったため,急性涙囊瘻炎と診断した。症例1は抗菌薬の投与と腫脹部への穿刺,排膿で,後者は抗菌薬の投与のみで改善した。結論:一見急性涙囊炎と思われても,通水検査や涙囊瘻を確認することで急性涙囊瘻炎ということがあり,先天性外涙囊瘻の存在も念頭に置いて診断する必要がある。
参考文献
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