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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科68巻6号

2014年06月発行

文献概要

特集 第67回日本臨床眼科学会講演集(4) 原著

頸動脈ステント留置術が視機能改善に有効であった眼虚血症候群の1例

著者: 大熊博子1 近藤亜紀1 松原正男1

所属機関: 1東京女子医科大学東医療センター眼科

ページ範囲:P.837 - P.840

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要約 目的:視力低下を契機として内頸動脈狭窄が発見され,ステント留置術後に視機能が改善した症例の報告。症例:76歳女性が2か月前に突発した左眼視力低下で受診した。高血圧があり,47年前からの喫煙歴がある。所見:矯正視力は右0.9,左0.5で,眼圧は左右眼とも10mmHgであった。左眼に虹彩ルベオーシスとテント状の周辺虹彩前癒着(PAS)があった。眼底に格別の異常はなかった。超音波検査で,左内頸動脈に75%の狭窄があった。頸動脈ステント留置術を行い,その2日後に左眼視力は0.8になり,虹彩ルベオーシスはほとんど退縮し,術前にあった鼻側の視野沈下は改善した。結論:内頸動脈狭窄に対するステント留置術で,視機能が改善した。

参考文献

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13)永田 泉:頸動脈血栓内膜剝離術.神経治療学 27:679-682,2010
14)峰松一夫:頸動脈病変の治療―stentとCEA―内科の立場から.脳卒中 24:441-444,2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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