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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科68巻7号

2014年07月発行

文献概要

臨床報告

眼内レンズによるcrossed monovisionの術後臨床成績

著者: 伊藤志織1 江黒友春1 天野理恵1 戸塚悟1 清水公也1

所属機関: 1北里大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1051 - P.1055

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要約 背景:老視矯正で,1眼を遠方視,他眼を近方視にする方法がある。通常は優位眼を遠方視,非優位眼を近方視にする(conventional monovision)。状況により,これを逆にすることがある(crossed monovision)。目的:単焦点眼内レンズ(IOL)による2方法のmonovisionの成績の報告。対象と方法:術後6か月を経過した高齢者27例を対象とした。17例はconventional,10例はcrossed monovisionとした。各症例につき,全距離視力,近見立体視,満足度,眼鏡使用度を調査した。結果:中間距離での両眼開放視力と,近見立体視が,crossed monovision 10例では,他の17例よりも低かった。満足度と眼鏡使用率は,両群とも同様であった。結論:Crossed monovisionは,通常の方法よりも一部の視機能が劣るが,満足度は同様であり,老視矯正の選択肢の1つになる。

参考文献

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13)不二門尚:モノビジョン.IOL & RS 17:91-97,2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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