今月の表紙
コロボーマに沈む眼内レンズ
著者:
田部井真記子1
厚東隆志1
稲谷大2
所属機関:
1杏林大学医学部付属病院アイセンター
2福井大学
ページ範囲:P.1448 - P.1448
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症例は79歳,男性。生来両眼のコロボーマのため弱視であったが,1週間前からの右眼のかすみを訴え当院紹介受診となった。家族歴に特記事項はなかった。初診時視力は右30cm/n. d.(矯正0.02),左5cm/n. d.(矯正15cm/n. d.),眼圧は右12mmHg,左13mmHgであった。25年前に両眼の白内障手術を他院で施行されており,右眼は眼内レンズ挿入眼,左眼は無水晶眼であったとのことだが,当院受診時右眼の眼内レンズは写真のごとく囊ごと眼底に落下していた。治療として硝子体手術および眼内レンズ摘出術を施行した。術中,周辺硝子体は正常の硝子体基底部から脈絡膜欠損部の後縁に連続して付着しており,あたかもそこが基底部であるかのようにshavingを行った。術後は合併症なく,視力右(0.02)と安定している。
写真は初診時の右眼。撮影にはOptos社製200Txを使用した。巨大コロボーマのさらに下方にIOLが落下していたため,限界まで下方視させて撮影した。画角200°と広角に撮影できるOptosの特徴を生かし,また下方の虹彩に欠損があるため下方周辺部がより広角に撮影できたことでコロボーマに沈む眼内レンズを鮮明に捉えることができた。