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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科69巻10号

2015年10月発行

文献概要

臨床報告 カラー臨床報告

硝子体浸潤を伴った脈絡膜悪性黒色腫の1例

著者: 横山英恵1 加瀬諭13 鈴木康夫1 勝田聡1 高橋光生1 篠原敏也2 石田晋3 加瀬学1

所属機関: 1手稲渓仁会病院眼科 2手稲渓仁会病院病理診断科 3北海道大学大学院医学研究科眼科学分野

ページ範囲:P.1545 - P.1550

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要約 背景:硝子体浸潤を伴う脈絡膜悪性黒色腫はわが国では稀である。目的:硝子体浸潤を伴う脈絡膜悪性黒色腫の1例の報告。症例:73歳の男性が左眼の眼底の隆起性病変で紹介受診した。2年前から左眼の飛蚊症を自覚していた。所見と経過:矯正視力は左右眼とも0.6であった。左眼には前部硝子体に色素細胞が浮遊し,眼底耳側に3乳頭径大の茶褐色隆起性病変があり,その頂点に黒褐色病巣があった。この隆起性病変は,フルオレセイン蛍光眼底造影の後期で色素漏出,インドシアニングリーン蛍光造影で過蛍光であり,黒褐色病巣は終始低蛍光であった。悪性黒色腫と診断し,左眼を摘出した。病理学的に,類上皮型の脈絡膜悪性黒色腫であり,腫瘍の大きさは8mm×8mm×5mmで,腫瘤の頂点で腫瘍細胞が網膜を穿破して硝子体腔に浸潤していた。結論:本症例はわが国では稀な,硝子体浸潤を伴う脈絡膜悪性黒色腫であった。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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