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文献概要
特集 遺伝性網膜疾患のトータルケア 【治療と対応】
網膜ジストロフィをもつ小児への対応
著者: 村上晶1
所属機関: 1順天堂大学大学院医学研究科眼科学
ページ範囲:P.1636 - P.1640
文献購入ページに移動はじめに
小児期に発症する網膜変性疾患には,さまざまなものがある。網膜色素変性(retinitis pigmentosa:RP)の多くは,10歳前後には,診断可能であるとされている。若年発症のRPである程度オーバーラップするものに,Leber先天黒内障(Leber congenital amaurosis:LCA,MIM 204000)がある。1869年,von Leber1)は生後早期に発症するRPについて記載しているが,これにちなんで,生後間もなくから発症する網膜ジストロフィをLCAと呼ぶようになっている。ちなみに,Leberはこの報告とは別に,遺伝性視神経症の記載をしており,これは現在,ミトコンドリアDNAの異常で起こるLeber病視神経症の病名の由来となっている。錐体ジストロフィやStargardt病においても視力の低下は小児期から始まっていることが多い。一方で,RPでは自覚症状に乏しく偶発的に眼底検査で発見される場合もある。そのケアも,診断から始まり,疾患の説明,就学の相談,ロービジョンケア,遺伝相談など多岐にわたり,対象は家族全体に拡がるという性質がある。小児科医のみならず,さまざまな専門をもつスタッフの協力が必要である。本稿では,小児網膜変性疾患の代表疾患であるLCAについて概説を行いながら,網膜ジストロフィをもつ小児への対応について概説する。
小児期に発症する網膜変性疾患には,さまざまなものがある。網膜色素変性(retinitis pigmentosa:RP)の多くは,10歳前後には,診断可能であるとされている。若年発症のRPである程度オーバーラップするものに,Leber先天黒内障(Leber congenital amaurosis:LCA,MIM 204000)がある。1869年,von Leber1)は生後早期に発症するRPについて記載しているが,これにちなんで,生後間もなくから発症する網膜ジストロフィをLCAと呼ぶようになっている。ちなみに,Leberはこの報告とは別に,遺伝性視神経症の記載をしており,これは現在,ミトコンドリアDNAの異常で起こるLeber病視神経症の病名の由来となっている。錐体ジストロフィやStargardt病においても視力の低下は小児期から始まっていることが多い。一方で,RPでは自覚症状に乏しく偶発的に眼底検査で発見される場合もある。そのケアも,診断から始まり,疾患の説明,就学の相談,ロービジョンケア,遺伝相談など多岐にわたり,対象は家族全体に拡がるという性質がある。小児科医のみならず,さまざまな専門をもつスタッフの協力が必要である。本稿では,小児網膜変性疾患の代表疾患であるLCAについて概説を行いながら,網膜ジストロフィをもつ小児への対応について概説する。
参考文献
1)von Leber T:Üeber retinitis pigmentosa und angeborene amaurose. Archiv für Ophthalmol 15:1-25, 1869
gene in two siblings with Leber congenital amaurosis. Jpn J Ophthalmol 58:528-535, 2014
3)Bainbridge JW, Mehat MS, Sundaram V et al:Long-term effect of gene therapy on Leber's congenital amaurosis. N Engl J Med 372:1887-1897, 2015
4)Jacobson SG, Cideciyan AV, Roman AJ et al:Improvement and decline in vision with gene therapy in childhood blindness. N Engl J Med 372:1920-1926, 2015
5)MacLaren RE, Groppe M, Barnard AR et al:Retinal gene therapy in patients with choroideremia:initial findings from a phase 1/2 clinical trial. Lancet 383:1129-1137, 2015
6)岩田文乃:遺伝相談:主治医としてのかかわり方.OCULISTA 15:70-85,2014
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