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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科69巻13号

2015年12月発行

臨床報告

28病日から免疫吸着療法を施行した抗アクアポリン4抗体陽性視神経炎の1例

著者: 田辺芳樹1 伊藤勇2 高良由紀子3 高橋春男4

所属機関: 1浜松医療センター眼科 2保谷伊藤眼科 3高良眼科 4昭和大学付属東病院眼科

ページ範囲:P.1803 - P.1807

文献概要

要約 目的:第28病日から開始した免疫吸着療法が著効を示した抗アクアポリン(AQP)4抗体陽性の視神経炎の報告。症例:54歳の女性が3日前からの左眼の視力低下,視野欠損,眼痛で受診した。矯正視力は右1.2,左0.4であった。左眼には相対的求心路瞳孔反応障害が陽性であった。MRIで球後視神経炎視神経に相当する所見があり,第26病日に抗AQP4抗体が陽性であることが判明した。多発性硬化症や脊髄炎を示唆する所見はなく,視神経脊髄炎関連疾患である抗AQP4抗体陽性視神経炎と診断した。2クールのステロイドパルス療法は効果がなく,第28病日から免疫吸着療法を開始した。第46病日には左眼視力が1.0になり,以後314病日後の現在まで再発や脊髄炎はない。結論:抗AQP4抗体陽性視神経炎の症例に対し,ステロイドパルス療法は奏効せず,免疫吸着療法が著効を示した。

参考文献

1)「抗アクアポリン4抗体陽性視神経炎診療ガイドライン」作成委員会:抗アクアポリン4抗体陽性視神経炎診療ガイドライン.日眼会誌 118:446-460,2014
2)毛塚剛司:抗アクアポリン4抗体陽性視神経炎.MB OCULI 13:20-26,2014
3)毛塚剛司:視神経脊髄炎.神眼 31:5-12,2014
4)坂本 文・西村雅史・笠間周平・他:抗アクアポリン4抗体陽性であった視神経炎の1例.眼科 52:939-943,2010
5)松田隆作・毛塚剛司・松永芳径・他:血漿交換療法により視力が改善した視神経脊髄炎の一例.眼紀 3:771-775,2010
6)鍵谷真希・中嶋秀人・太田亜賀沙・他:Neuromyelitis opticaおよびNeuromyelitis optica spectrum disordsersに対するアフェレシス療法の有効性.透析会誌 45:413-419,2012
7)大橋高志・太田宏平・清水優子・他:視神経脊髄炎(NMO)における免疫吸着療法の検討.東女医大誌 78:94-98,2008
8)平山 喬・上道知之・堺 竜介・他:発症早期より免疫吸着療法を施行したステロイド抵抗性NMOおよびNMO spectrum自験4例の検討.近畿中央病院医学雑誌 33:77-82,2012
9)高橋利幸・中島一郎・藤原一男・他:NMOにおける単純血漿交換療法の検討(会議録).臨床神経 49:1109,2009
10)魚谷 瞳・佐々木勇二:抗アクアポリン4抗体陽性視神経炎の1例.公立八鹿病院誌 20:1-5,2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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