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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科69巻13号

2015年12月発行

文献概要

臨床報告

涙小管炎に角膜潰瘍を併発した1例

著者: 松浦峻行1 田尻健介1 角南健太2 米澤昂1 吉川大和3 三村真士1 清水一弘3 池田恒彦1

所属機関: 1大阪医科大学眼科学教室 2市立貝塚病院眼科 3高槻病院眼科

ページ範囲:P.1815 - P.1819

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要約 目的:重症の角膜潰瘍を併発した涙小管炎の1例を報告する。症例:83歳,女性。右眼に多量の眼脂と結膜充血,角膜潰瘍を認め,視力は眼前手動弁に低下していたため抗菌薬で治療を開始した。涙点より排膿があったため涙道内視鏡検査を施行したところ,涙小管内の菌石と総涙小管閉塞を認めた。涙道内を郭清することで眼脂は著明に減少したが,結膜充血は遷延し,角膜の菲薄化はさらに進行した。フルオロメトロン点眼を追加することで充血は消退したが角膜はDescemet膜瘤となった。眼脂の鏡検と培養から放線菌が同定された。結論:放線菌による涙小管炎に角膜潰瘍を併発した1例を経験した。放線菌感染は角膜実質を溶解させる炎症を生じることがある。

参考文献

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17)佐々木次壽・白尾 裕:涙道内視鏡による涙小管炎の診断と治療.眼科 42:1043-1047,2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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