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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科69巻2号

2015年02月発行

文献概要

特集2 近年のコンタクトレンズ事情

学校保健とコンタクトレンズ

著者: 宇津見義一1

所属機関: 1宇津見眼科医院

ページ範囲:P.190 - P.197

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はじめに

 日本眼科医会(以下,日眼医)の2012年の全国の学校でのコンタクトレンズ(以下,CL)使用調査では,使用目的で最も多いのは,「スポーツをするから」「メガネが嫌だから」である1)。CLは生命や健康に重大な影響を与えるおそれがある機器である高度管理医療機器であり,CL使用者の7〜10%に眼障害を生じている2)

 安易なCL使用によって眼障害を生じないように,学校では眼科学校医はCLの健康教育,学校保健員会などにより子どもたちに周知すべきである。さらに,養護教諭などの学校関係者,教育委員会なども同様である。横浜市では学校や学校関係者,教育委員会,医師会などCLの啓発活動を積極的に実施してきた3)。2000年頃では中学生に定期健康診断でCLはトラブルを生じやすいことと問うとほとんどが返答できなかったが,現在は同様の質問をすると多くが知っている。学校,地区などでの啓発活動そしてマスコミ報道などにより,正しいCLの知識が周知されつつある。しかし,行政の不適切な対応によりCLが医師の処方なしで購入できることなどで,学校でのカラーCL使用者の増加とそれによる眼障害の増加など新たな問題が生じている。

 本稿では,全国の学校でのCL使用実態とCL処方,学校保健における眼科学校医の対応や啓発活動について述べる。

参考文献

1)宇津見義一・宮浦 徹・柏井真理子・他:平成24年度学校現場でのコンタクトレンズ使用状況調査,日本の眼科 85:346〜366,2014
2)植田喜一・宇津見義一・佐野研二・他:コンタクトレンズによる眼障害アンケート調査の集計結果報告(平成20年度).日本の眼科 79:1165-1170,2008
3)宇津見義一・池田桐子・戸倉 純・他:横浜市中学・高等学校のコンタクトレンズ教育による装用状況の効果.第44回日本コンタクトレンズ学会総会展示発表,2001
4)宮浦 徹・植田喜一・宇津見義一・他:平成18年度学校現場でのコンタクトレンズ使用状況調査.日本の眼科 78:1187-1200,2007
5)宇津見義一・宮浦 徹・柏井真理子・他:平成21年度学校現場でのコンタクトレンズ使用状況調査.日本の眼科 83:1097-1114,2012
6)感染性角膜炎全国サーベイランス・スタディグループ:感染性角膜炎全国サーベイランス—分離菌・患者背景・治療の現況.日眼会誌 110:961-972,2007
7)福地祐子・前田直之・相馬剛至・他:オルソケラトロジーレンズ装用者に認められたアカントアメーバ角膜炎の1例.日眼紀 58:503-506,2007
8)加藤陽子・中川 尚・秦野 寛・他:学童におけるオルソケラトロジー経過中に発症したアカントアメーバ角膜炎の1例.あたらしい眼科 25:1709-1711,2008
9)池田哲也・宇津見義一・熊埜御堂隆・他:オルソケラトロジーによる角膜潰瘍の2症例.日コレ誌 52:1,21-24,2010
10)金井 淳・糸井素純・大橋裕一・他:オルソケラトロジー・ガイドライン.日眼会誌 113:676-679,2009
11)坂本則敏・宇津見義一(神奈川県眼科医会):高校生におけるコンタクトレンズ汚染の感染経路の検討.平成25年度第44回全国学校保健・学校医大会第5分科会(眼科)詳録集,39-44,2013
12)国民生活センター報道発表:カラーコンタクトレンズの安全性—カラコンの使用で目に障害も—.独立行政法人国民生活センター報道発表資料,1〜57,2014
13)高橋和博・魚谷 純・山下秀明・他:コンタクトレンズによる眼障害アンケート調査の集計結果報告(平成24年度).日本の眼科 94:801-810,2013
14)渡邉 潔・植田喜一・佐渡一成・他:カラーコンタクトレンズ装用にかかわる眼障害調査報告,日コレ誌:56:2-10,2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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