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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科69巻2号

2015年02月発行

文献概要

臨床報告

視索に形態的変化を確認できた視索症候群の1症例

著者: 林一彦1 石井伸明2

所属機関: 1はやし眼科 2江別病院脳神経外科

ページ範囲:P.231 - P.236

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要約 背景:視索症候群は片側の視索の機能障害によるが,視索に形態的変化があるか否かは知られていない。目的:磁気共鳴画像(MRI)で片側の視索に異常があった1症例の報告。症例:19歳女性が他医で緑内障と診断され,その6か月後に精査を希望して受診した。小児てんかんがあり,4年間の投薬既往がある。所見:矯正視力は左右とも1.2で,眼圧は右11mmHg,左12mmHgであった。両眼の視神経乳頭耳側に蒼白化があり,右側の非調和性同名半盲があった。光干渉断層計で,右眼に横方向の乳頭周囲神経線維層厚の減少と中心窩鼻側の神経節細胞複合体の菲薄化,左眼に縦方向の乳頭周囲神経線維層厚の減少と中心窩耳側の神経節細胞複合体の菲薄化があった。MRIで左側視索の縮小と容積減少があり,左側の視索症候群と診断した。結論:本症例は,新知見として視索の機能障害と形態的変化を示す,視索症候群であった。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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