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特集 第68回日本臨床眼科学会講演集(1) 原著
2種類のトーリック眼内レンズの術後早期成績比較
著者: 竹下哲二1
所属機関: 1上天草市立上天草総合病院眼科
ページ範囲:P.309 - P.312
文献購入ページに移動要約 目的:2種類のトーリック眼内レンズの術後早期成績を比較する。対象と方法:2013年にAcrySof® Toric SN6AT3-9を挿入した34例47眼(平均年齢74.1±6.5歳)と2014年2月以降にTECNIS® Toric ZCT150,225,300,400を挿入した36例51眼(平均年齢76.9±6.2歳)である。術後3か月までの裸眼・矯正視力,他覚・自覚球面度数,他覚・自覚円柱度数,術翌日の軸ずれを比較検討した。結果:術後1週間,1か月,3か月の裸眼・矯正視力,他覚・自覚球面度数,他覚・自覚円柱度数についてSN6AT群とZCT群の間に統計学的有意差はなかった。術翌日の軸ずれは両群間に有意差はなかったが,ZCT群のほうがばらつきが大きかった。軸ずれの回転方向はSN6AT群では時計回り,ZCT群では反時計回りが多かった。結論:軸ずれのばらつきはZCT群が多かったが,乱視軽減効果は同等であった。その理由として,両社のweb calculatorの特性による影響が考えられた。SN6AT群の軸ずれの回転方向は過去の報告と異なり,さらなる検討が必要と思われた。
参考文献
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