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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科69巻3号

2015年03月発行

文献概要

やさしい目で きびしい目で・183

眼科医になって14年

著者: 辻本淳子1

所属機関: 1能登川病院

ページ範囲:P.375 - P.375

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 眼科医になって,早いもので14年が経とうとしています。私は福井医大を卒業後,地元に帰って京都府立医大眼科学教室に入局し,関連病院の大病院で常勤をしながら出産をし,産後2か月で職場に復帰しました。子供が小学生になると定時で働くのは難しいと考え,一大奮起してお世話になった医局を出て,医師不足の中小病院で,時間を短縮して働かせてもらう条件で働き始めました。外科系の常勤医がいなくなったために手術ができなくなっていた病院で,5年ぶりに手術場を再稼働させ2年が経ち,ようやくやりたいことができるようになってきました。

 子育てをしていて,息子の面倒を見ているようで実は息子に助けられていると思うことがあります。私は休日の診察には息子をよく連れて行くのですが,その日は白内障手術後に前房出血があり,退院の日が延びた患者さんの診察がありました。一緒に来た息子は,その方の診察が終わった後も病室までついていって,帰り際に何度も何度も病室まで手を振りに行ったそうです。その方が退院後の診察で,あの時は凄く嬉しくて元気が出たと涙しておられました。息子がその患者さんが落ち込んでいるのに気づいたのか,単なる気まぐれなのかはわからないのですが,私も助けられた気がしました。他にも大きな声では言えませんが,出席したくない会の時に限って息子の熱が出ることもよくありました。子供の世話で自分の時間もないし,好きなこともできないと思ったりもしますが,子供はお母さんを幸せにするために産まれてきたという言葉をどこかで聞いたことがあり,あながち間違ってないなあと思っています。現在7歳の息子に私の一番好きなところを尋ねてみると,みんなの眼を治しているところと言ってくれて,励みになります。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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