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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科69巻4号

2015年04月発行

文献概要

特集 第68回日本臨床眼科学会講演集(2) 原著

悪性高血圧症にみられた両眼胞状網膜剝離の1例

著者: 中山奈緒美1 田辺晶代1 新川恭浩1 小池伸子1 齋藤伊三雄1

所属機関: 1北野病院眼科

ページ範囲:P.467 - P.473

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要約 目的:悪性高血圧症にみられた両眼胞状網膜剝離の症例についての報告。症例:20歳,男性。両眼の視力低下で当科を受診した。所見:視力は両眼とも光覚弁であり,眼底は網膜動脈の狭細化,網膜出血,網膜深層の黄白色斑,及び上方を除く3象限に胞状網膜剝離を認めた。血圧は262/160mmHgであり,血液検査では著明な腎機能低下,胸部単純X線検査では著明な心拡大と肺うっ血を認めた。悪性高血圧症,急性心不全,急性腎不全と診断し,即日降圧療法を開始,さらに血液透析も施行した。光干渉断層計(OCT)により病初期にフィブリン塊を伴う漿液性網膜剝離を認めたが,経過とともに網膜剝離の消失,フィブリンの器質化,一部の視細胞外節内節の回復を認めた。最終矯正視力は,右(1.0),左(0.1)であった。結論:高血圧性脈絡膜症における黄斑部病変の理解に,OCTは有用な検査手段の1つであり,フィブリン析出と視力予後との関連が示された。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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