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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科69巻6号

2015年06月発行

文献概要

特集 第68回日本臨床眼科学会講演集(4) 原著

角膜穿孔をきたし,水晶体貫通せずに隅角に落下した金属異物の1例

著者: 阮俊榮1 藤谷周子1 関根新1 貞松良成2 星合繁1

所属機関: 1ほしあい眼科 2さだまつ眼科クリニック

ページ範囲:P.827 - P.830

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要約 目的:金属性異物が角膜を穿孔し,隅角に落下した1症例の報告。症例:31歳男性が,溶接の作業中に左眼に金属片が入ったとして,受傷の5時間後に受診した。眼痛はなかった。所見:矯正視力は右1.2,左0.2であり,左眼角膜の中央部の穿孔創があった。前房は深く,水晶体前囊に軽度の混濁があった。隅角検査で下方5時の隅角根部に金属性の異物があった。その翌朝に小切開により,鑷子による異物除去と超音波乳化吸引術を行った。経過は良好で,1週間後に視力は1.2に回復した。結論:金属性異物が角膜を穿孔し,水晶体を貫通せずに隅角に落下していることがある。本症例での術後経過は良好であった。

参考文献

1)杉山祥子・西出忠之・早川夏貴・他:術後視力良好な穿孔性眼外傷における受傷要因の検討.臨眼 66:901-904,2012
2)酒井淑子・蘇 沽訓・妹尾 正・他:53日間経過観察しえた水晶体鉄片異物の1例.眼科 39:1099-1103,1997
3)丸一みどり・本田恭子・岡村展明・他:45年間無症状で経過した水晶体内異物の1例.あたらしい眼科 18:1529-1532,2001
4)和泉田真作・高橋佳二・松島博之・他:獨協医科大学眼科における穿孔性眼外傷の予後不良因子.眼紀 55:963-968,2004
5)金子宗義・後藤彰子・高橋洋司・他:岩手医科大眼科における穿孔性眼外傷の統計.眼紀 50:515-518,1999
6)守屋豪士・鈴木浩之・家久來啓吾・他:外傷性白内障が進行しなかった水晶体前囊損傷の1例.臨眼 66:1665-1668,2012
7)緒方睦代:実験的ラット眼外傷性白内障の研究.山口医学 39:433-441,1990
8)中西美沙子,西出忠之,早川夏貴・他:穿孔性眼外傷の術後視力に対する術前因子の重回帰分析.臨眼 66:897-900,2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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