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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科69巻6号

2015年06月発行

文献概要

特集 第68回日本臨床眼科学会講演集(4) 原著

重症未熟児網膜症に対してベバシズマブ硝子体注射と網膜光凝固を併用した2症例

著者: 山内悠也1 松本直1 片山雄治1 有村哲1 堀裕一1

所属機関: 1東邦大学医療センター大森病院眼科

ページ範囲:P.891 - P.894

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要約 目的:光凝固とベバシズマブ硝子体注射で加療した重症未熟児網膜症(APROP)の2症例の報告。症例:1例は在胎24週で出生し,生下時体重665gの女児で,posterior zone 2 stage 3 plusの未熟児網膜症があり,2回の光凝固を受けたが改善せず,修正35週で当科に転院した。他の1例は在胎22週で出生し,生下時体重499gの男児で,zone 1 stage 2 plusの未熟児網膜症があり,APROPと診断された。硝子体混濁が強く,光凝固は困難と判断され,当科に転院した。結果:1例には修正35週に両眼に光凝固とベバシズマブ硝子体注射を行い,翌日から増殖性病変は軽快した。他の1例には修正32週に両眼にベバシズマブ硝子体注射を行った。4週後に再増殖があり,その翌週に光凝固を行い,網膜症の活動性が低下した。結論:ベバシズマブ硝子体注射がAPROPに対する治療の選択肢になる。

参考文献

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12)荒木俊介・菅秀太郎・江口真美・他:抗VEGF療法を必要とした重症未熟児網膜症の検討.日本周産期・新生児医学会雑誌 49:1064-1068,2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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