icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科69巻7号

2015年07月発行

文献概要

特集 第68回日本臨床眼科学会講演集(5) 原著

新潟大学における急性網膜壊死症例の検討

著者: 中野里絵子1 松岡尚気1 松田英伸1 長谷部日1 酒井康弘1 福地健郎1

所属機関: 1新潟大学大学院医歯学総合研究科 生体機能調節医学専攻 感覚統合医学講座 視覚病態学分野

ページ範囲:P.981 - P.985

文献購入ページに移動
要約 目的:新潟大学病院で過去7年間に加療した急性網膜壊死(ARN)の報告。対象と方法:2013年までの7年間に当院を受診したARNの12例12眼を検索し,その治療成績を解析した。男性7例,女性5例で,年齢は25〜76歳,平均53歳であった。結果:全例が片眼発症であった。初診時に採取した前房水から,単純ヘルペスウイルスが3眼,水痘・帯状疱疹ウイルスが9眼で陽性であった。経過中に網膜剝離が7眼に発症し,5眼には発症しなかった。網膜剝離の有無は,ARN発症から受診までの日数とは相関がなかった。網膜剝離の原因は,2眼では増殖膜により牽引,5眼では裂孔原性であった。初診時に硝子体混濁が7眼にあり,うち6眼に網膜剝離が生じた。網膜剝離の全例に対して硝子体手術を行い,シリコーンオイル充塡などを併用した。全7眼で網膜が復位した。結論:当院でのARNはすべて片眼性であった。経過中の網膜剝離発症は,初診時に硝子体混濁のある例に多かった。

参考文献

1)浦山 晃・山田酉之・佐々木徹郎・他:網膜動脈周囲炎と網膜剝離を伴う特異な片眼性急性ブドウ膜炎について.臨眼 25:607-619,1971
2)市側稔博・坂井潤一・山内康之・他:桐沢型ぶどう膜炎44例の臨床的検討.日眼会誌 101:243-247,1997
3)Iwahashi-Shima C, Azumi A, Ohguro N et al:Acute retinal necrosis:factors associated with anatomic and visual outcomes. Jpn J Ophthalmol 57:98-103, 2013
4)Hillenkamp J, Nolle B, Bruns C et al:Acute retinal necrosis:clinical features, early vitrectomy, and outcomes. Ophthalmology 116:1971-1975, 2009
5)Usui Y, Takeuchi M, Goto H et al:Acute retinal necrosis in Japan. Ophthalmology 115:1632-1633, 2008
6)臼井嘉彦・竹内 大・後藤 浩・他:東京医科大学における急性網膜壊死(桐沢型ぶどう膜炎)の統計的観察.眼臨 101:297-300,2007
7)袖山博健,戸所大輔・山田教弘・他:急性網膜壊死における原因ウイルスと臨床経過 臨眼 68:947-952,2014
8)Fisher JP, Lewis ML, Blumenkranz MS et al:The acute retinal necrosis syndrome. Part 1. Clinical manifestations. Ophthalmology 89:1309-1316, 1982
9)Clarkson JG, Blumenkranz MS, Culbertson WW et al:Retinal detachment following the acute retinal necrosis syndrome. Ophthalmology 91:1665-1668 1984
10)古屋敏江・今井雅仁・秋山博紀・他:桐沢型ぶどう膜炎の硝子体手術.臨眼 44:61-66,1990
11)臼井嘉彦・竹内 大・山内康行・他:硝子体手術を施行した急性網膜壊死(桐沢型ぶどう膜炎)52例の検討.日眼会誌 114:362-368,2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?