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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科69巻7号

2015年07月発行

特集 第68回日本臨床眼科学会講演集(5)

原著

サイトメガロウイルス角膜内皮炎・虹彩炎の5例

著者: 實吉安信1 笠岡政孝1 田口千香子1 門田遊1 山川良治1

所属機関: 1久留米大学医学部眼科学講座

ページ範囲:P.1007 - P.1011

文献概要

要約 目的:サイトメガロウイルスによる虹彩炎と角膜内皮炎5症例の報告。対象と方法:過去7年間に,前房水のPCR検査でサイトメガロウイルスが陽性で,眼所見とその経過から診断した5例6眼を対象とした。男性3例4眼,女性2例2眼であり,年齢は66〜72歳であった。結果:当科を受診する前に,全例が虹彩炎と続発緑内障と診断されていた。初診時の所見として,眼圧上昇が6眼,角膜後面沈着物が5眼,coin lesionが1眼にあった。5眼で角膜内皮細胞密度が1,500個/mm2以下に減少していた。全例にデキサメタゾンとガンシクロビルの点眼を行い,ガンシクロビルの点滴と硝子体注射などを併用した。治療終了時に全例で角膜内皮細胞密度の減少があった。結論:虹彩炎と続発緑内障の治療歴がある症例で,角膜後面沈着物があり,眼圧が上昇し,角膜内皮細胞密度が減少している時には,サイトメガロウイルスによる虹彩炎と角膜内皮炎が疑われる。

参考文献

1)Koizumi N, Suzuki T, Uno T et al:Cytomegalovirus as an etiologic factor in corneal endotheliitis. Ophthalmology 115:292-297, 2008
2)細谷友雅・神野早苗・吉田史子・他:両眼性サイトメガロウイルス角膜内皮炎の1例.あたらしい眼科 26:105-108,2009
3)唐下千寿・矢倉慶子・郭 權慧・他:バルガンシクロビル内服が奏功した再発性サイトメガロウイルス角膜内皮炎の1例.あたらしい眼科 27:367-370,2010
4)三瀬一之・木村 章・大浦福市・他:ぶどう膜炎による続発性緑内障に認められたサイトメガロウイルス角膜内皮炎の1例.眼臨紀 3:598-601,2010
5)猪俣武範・武田淳史・本田理峰・他:ガンシクロビルの点滴と点眼が奏功したサイトメガロウイルス角膜内皮炎の1例.臨眼 65:875-879,2011
6)山下和哉・松本幸裕・市橋慶之・他:虹彩炎に伴う続発緑内障として加療されていたサイトメガロウイルス角膜内皮炎の2症例.あたらしい眼科 29:1153-1158,2012
7)小泉範子:サイトメガロウイルス角膜内皮炎.あたらしい眼科 28:1439-1440,2011
8)Koizumi N, Inatomi T, Suzuki T et al:Clinical features and management of cytomegalovirus corneal endotheliitis:analysis of 106 cases from the Japan corneal endotheliitis study. Br J Ophthalmol 99:54-58, 2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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