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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科69巻7号

2015年07月発行

文献概要

特集 第68回日本臨床眼科学会講演集(5) 原著

発症から長期経過後に副鼻腔手術により視力改善が得られた鼻性視神経症の1例

著者: 海野茂樹12 横田陽匡2 野村研一郎3 吉田晃敏2

所属機関: 1釧路労災病院眼科 2旭川医科大学眼科学講座 3旭川医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座

ページ範囲:P.1075 - P.1079

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要約 目的:発症から長期間が経過した後に,手術により視機能が回復した鼻性視神経症の1例の報告。症例:30歳男性が2週間前からの右眼周囲の疼痛と視力低下で受診した。所見と経過:視力は右指数弁,左1.5であったが,左右眼とも他覚的に病的所見を認めなかった。視野検査では右眼に視野狭窄と中心暗点があった。ステロイドパルス療法を施行し右眼視力は0.4に回復したが,10か月後に通院を中断した。5年後に同様の症状を訴え再受診した。矯正視力は右0.03,左1.2であった。再度ステロイドパルス療法を施行し,3か月後に右眼視力は0.7に回復するも,その1か月後に0.4になり,さらに悪化した。そこで,これまでの画像検査を再検討し,篩骨蜂巣の所見などから鼻性視神経症を疑った。副鼻腔手術を施行し,5日後には視力は1.0に回復し,10か月後の現在まで経過は良好である。結論:本症例は慢性に経過する非典型的な鼻性視神経症であり,副鼻腔手術が奏効した。

参考文献

1)丸尾敏夫・西信元嗣・増田寛次郎:眼科学辞典.第1版,メディカル葵出版,東京,1991
2)藤谷敦子・渋谷勇三・児玉達夫・他:島根医大眼科における鼻性視神経症例の検討.眼臨医報 91:868-870,1997
3)香川 彩・秦 聡・三河洋一・他:著明な視力改善を見た鼻性視神経症の1例.眼臨医報 96:129-131,2002
4)門井千春・武田憲夫・福尾吉史・他:鼻性視神経症(炎)の検討.眼紀 44:47-52,1993
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6)石田 晋・平形寿孝・安藤靖恭・他:MRIで診断のついた鼻性視神経炎の1例.眼科 34:583-587,1992
7)工藤貴之・大島猛史・吉田征之・他:鼻性視神経症の3例.耳鼻と臨床 54:15-22,2008
8)藤田洋右・北村 武・戸川 清・他:視覚障害を伴った後部副鼻腔炎について.日本耳鼻咽喉科学会会報 74:1449-1455,1971
9)鈴木宣民・忍定正之・黒田紀子:鼻性球後視神経炎の診断について.臨眼 26:1149-1153,1972
10)笠井真央・多田憲太郎・岸 茂・他:鼻性視神経症を呈した多発性硬化症の1例.臨眼 66:1349-1352,2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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