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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科69巻7号

2015年07月発行

文献概要

臨床報告

裂孔原性網膜剝離に対する硝子体手術における気体タンポナーデ物質の検討

著者: 石黒利充1 中道悠太1 中内正志1 山田晴彦1 髙橋寛二1

所属機関: 1関西医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.1093 - P.1097

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要約 目的:裂孔原性網膜剝離に対する硝子体手術で,空気または六フッ化硫黄(SF6)を用いた成績の報告。対象と方法:過去2年間に,原因裂孔が上方2象限にある網膜剝離に対して硝子体手術を行った58例60眼を対象とした。年齢は41〜77歳,平均59歳であった。裂孔周囲の網膜には光凝固を行った。タンポナーデとして30眼では空気,30眼ではSF6を用いた。術後36時間は腹臥位とし,以後は状況に応じて延長した。術後6か月間の経過を追った。結果:初回手術により,空気群では30眼,SF6群では28眼で復位が得られた。両群間に有意差はなかった。術後視力の不変または改善が,両群とも100%で得られた。術後の腹臥位日数は,空気群で平均4.20±0.55日,SF6群で8.23±0.90日であり,両群間に有意差があった(p<0.01)。結論:原因裂孔が上方にある網膜剝離に対する硝子体手術で,タンポナーデ物質として空気とSF6を使用した症例群では,復位率と術後視力に差がなかった。術後の腹臥位日数は,空気群が有意に短かった。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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