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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科69巻8号

2015年08月発行

文献概要

書評

帰してはいけない小児外来患者 フリーアクセス

著者: 五十嵐隆1

所属機関: 1国立成育医療研究センター

ページ範囲:P.1186 - P.1186

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 吉田兼好の「命長ければ恥多し」の言葉どおり,小児科医は誰しも臨床経験が長いほど臨床現場で「痛い」思いをした経験を持つ。私自身もプロとして恥ずかしいことではあるが,救急外来など同僚・先輩医師からの支援がなく,臨床検査も十分にできない状況にあり,しかも深夜で自分の体調が必ずしも万全ではない中で短い時間内に決断を下さなくてはならないときに,「痛い」思い,すなわち診断ミスをしたことがあった。かつての大学や病院の医局などの深い人間関係が結べた職場では,上司や同僚から心筋炎,イレウス,気道異物,白血病などの初期診療時の臨床上の注意点やこつを日々耳学問として聞く機会があり,それが救急外来などの臨床現場で大いに役立ったと感謝している。質の高い医療情報を獲得する手段が今よりも少なかった昔は,そのようにして貴重な臨床上の知恵が次世代に伝授されていたのだと思う。

 今回,崎山弘先生と本田雅敬先生が編集された『帰してはいけない小児外来患者』を拝読した。本書では,見逃してはならない小児の重症疾患の実例が多岐にわたり丁寧に解説されている。初期診断時に重症疾患をどうして正しく診断できなかったか,そして,どのようなちょっとした契機により重症疾患の診断に気付かされたかが手に取るようにわかる。読んでいる途中で,昔のように自分が医局のこたつで上司や同僚から臨床上の貴重な知恵や注意点を伝授されている気がしてきた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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