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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科69巻8号

2015年08月発行

文献概要

特集 第68回日本臨床眼科学会講演集(6) 原著

長期にわたり多彩な眼症状が出現したIgG4関連疾患の1例

著者: 江川麻理子1 井上昌幸1 林勇樹1 三田村佳典1 岸潤2

所属機関: 1徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部眼科学分野 2徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部呼吸器・膠原病内科学分野

ページ範囲:P.1253 - P.1258

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要約 目的:視神経炎と虹彩炎が先行し,涙腺の腫脹を契機にIgG4関連疾患(IgG4RD)と診断された症例を報告する。症例と経過:63歳男性が,左眼の球後視神経炎として紹介受診した。視力は右1.5,左0.02であった。両眼に虹彩炎の所見があり,眼底には異常がなかった。ステロイドパルス療法で軽快した。以後2回の再発があったが,ステロイドの全身投与で寛解した。初診から2年後に両眼の虹彩炎と上強膜炎が頻発し,その2年後に両側の上眼瞼腫脹と涙腺部の腫瘤が生じた。ガドリ二ウム造影磁気共鳴画像検査で,涙腺炎,下垂体炎,肥厚性硬膜炎があり,さらに涙液腺腫脹,大動脈周囲肥厚,縦隔リンパ節腫大などが発見された。その5か月後にIgG4値が上昇し,中枢性尿崩症が生じた。プレドニゾロンの全身投与で寛解した。結論:本症例での球後視神経炎視神経炎と虹彩炎は,IgG4RDであった可能性がある。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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