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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科69巻9号

2015年09月発行

文献概要

特集 第68回日本臨床眼科学会講演集(7) 原著

涙管チューブ留置術を施行した涙囊炎症例の経過

著者: 五嶋摩理12 齋藤勇祐2 大熊博子2 近藤亜紀2 三村達哉2 亀井裕子2 山本英理華1 尾崎憲子1 田中裕一朗1 川口龍史1 村上喜三雄1 松原正男2

所属機関: 1がん・感染症センター都立駒込病院眼科 2東京女子医科大学東医療センター眼科

ページ範囲:P.1329 - P.1332

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要約 目的:慢性涙囊炎に対するチューブ留置術後の経過と成績に影響する因子の報告。対象と方法:慢性涙囊炎に対してチューブを留置した22例24側を対象とした。涙道内視鏡下で閉塞部の同定と穿破を行い,涙囊を洗浄した。男性4例4側,女性18例20側で,年齢は27〜85歳,平均65歳である。定期的な通水のみで流涙と眼脂が少ない症例を成功例,流涙が軽減しても眼脂が残り,涙囊鼻腔吻合術を希望した症例を不成功例とした。チューブ抜去後1年以上の経過を観察した。結果:成功例は7例7側で,16例17側が不成功例であった。不成功例では鼻涙管下部の閉塞が有意に多かった。不成功例では涙囊鼻腔吻合術を9例10側に行い,全例で流涙と眼脂が消失した。結論:慢性涙囊炎に対するチューブ留置術で,30%の症例で流涙と眼脂が消失した。不成功例では鼻涙管下部の閉塞が有意に多かった。

参考文献

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2)今泉雅資・山下啓行・波津久智伸:鼻涙管閉塞に対する涙道内視鏡を用いた再建術.眼臨 99:452-453,2005
3)鈴木 亨:鼻涙管閉塞症の第一選択治療.臨眼 58:723-726,2004
4)五嶋摩理・三田哲子・中沢雅美・他:ヌンチャク型シリコーンチューブ挿入例361例の検討.臨眼 56:1015-1018,2002
5)五嶋摩理・新妻卓也・井藤紫朗・他:慢性涙囊炎に対するブリムヌンチャク型シリコーンチューブの挿入.臨眼 59:1791-1794,2005
6)杉本 学・井上 康:鼻涙管閉塞症に対する涙道内視鏡下チューブ挿入術の長期成績.あたらしい眼科 27:1291-1294,2010
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8)五嶋摩理:若倉雅登(監修),山崎守成,川本 潔(編):イラスト眼科手術シリーズⅤ 眼瞼・涙器手術 内視鏡を用いた鼻涙管手術.74-91,金原出版,東京,2013
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10)五嶋摩理・中沢雅美・新妻卓也・他:ヌンチャク型シリコーンチューブ抜去時期決定における鼻内視鏡の有用性.眼科手術 16:127-129,2003
11)五嶋摩理・新妻卓也・井藤紫朗・他:涙囊鼻腔吻合術後再閉塞難治例に対する治療法.眼臨 97:585-587,2003
12)Sasaki T, Nagata Y, Sugiyama K:Nasolacrimal duct obstruction classified by dacryoendoscopy and treated with inferior meatal dacryorhinotomy. Part Ⅰ. Positional diagnosis of primary nasolacrimal duct obstruction with dacryoendoscope. Am J Ophthalmol 140:1065-1069, 2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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