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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科69巻9号

2015年09月発行

文献概要

特集 第68回日本臨床眼科学会講演集(7) 原著

エルロチニブ塩酸塩(タルセバ®)内服中にみられた角膜潰瘍

著者: 浜野茂樹1 清水聡子1 溝田淳1

所属機関: 1帝京大学医学部眼科学講座

ページ範囲:P.1343 - P.1345

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要約 背景:エルロチニブ塩酸塩(タルセバ®)は細胞増殖を抑制する薬物で,切除が不能な肺癌などに経口投与される。目的:エルロチニブ塩酸塩の服用中に角膜潰瘍,捷毛の長毛化や乱生が生じた症例の報告。症例:87歳男性が両眼の角膜潰瘍で紹介受診した。肺腺癌に対してエルロチニブ塩酸塩を6か月前から内服中であった。所見:両眼に角膜潰瘍と,捷毛の長生化と乱生があった。オフロキサシン眼軟膏とレボフロキサシン点眼は奏効せず,初診の5日後にエルロチニブ塩酸塩の服用を中止した。その23日後に角膜潰瘍は治癒した。以後9か月後の現在まで経過は良好である。結論:本症例の角膜潰瘍は,エルロチニブ塩酸塩による角膜上皮障害と捷毛乱生とが原因であったと推定される。

参考文献

1)Zhang G, Basti S, Jampol LM:Acquired trichomegaly and symptomatic external ocular changes in patients receiving epidermal growth factor receptor inhibitors:case reports and a review of literature. Cornea 26:858-860, 2007
2)Johnson KS, Levin F, Chu DS:Persistent corneal epithelial defect associated with erlotinib treatment. Cornea 28:706-707, 2009
3)堀 裕一・橋本りゅう也・産賀 真・他:肺腺癌に対するエルロチニブ塩酸塩内服中にみられた角膜障害の1例.日眼会誌 116:510-515,2012
4)林 泰博:シクロスポリン点眼が奏効した抗悪性腫瘍薬エルロチニブによる角膜潰瘍の1例.臨眼 67:533-537,2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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