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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科7巻10号

1953年10月発行

文献概要

臨床實驗

葡萄状球菌に因る結膜並に眼瞼僞膜

著者: 長谷川信六1

所属機関: 1甲南病院

ページ範囲:P.589 - P.591

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 急性結膜炎の起炎菌の統計を求めたものの文献を見るに,眼脂の塗抹又は培養で現れた菌を直ちに,該結膜炎の起炎菌として取扱つている著者があり,從つてこの場合は葡萄状球菌(以下葡菌)が相當高率に急性結膜炎の起炎菌と見做されている。併し葡菌は健康結膜でも高率に現れるものであるから急結炎に葡菌を見たからとて直ちに之を起炎菌と見做すことは考慮を要するものである,殊に主として培養でのみ菌が現れた場合には一層その感が深い。このことは長谷川俊明氏,桐澤長德氏も述べておられる。併し葡菌も何等かの機縁で結膜嚢で多量に増殖したならば結膜にも炎症を起すであろうと云うことは考えられる。我々は麦粒腫の化膿巣が結膜面に開口しているとき,結膜は開口の周圍から周邊に及んで廣く相當の炎症を起すことは日常見ることである。この場合膿中にある菌の毒素の影響もあるであろうが兎に角葡菌に因つても結膜に炎症が成立することは立證される,このことは當然のことであるとも思われるが,併し又實際の臨床になると,かかる特種の場合を除くと,葡菌のみに因つて起るところの純粋の急性結膜炎なるものが果してどの程度に實在するものであるかを實證するのは困難な場合が多く,他面それなるが故に葡菌による結膜炎なるものを今一歩追究してみる必要がある理である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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