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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科7巻11号

1953年11月発行

文献概要

特集 眼科臨床の進歩Ⅱ

開頭術の臨床

著者: 井街讓1

所属機関: 1神戸醫科大學

ページ範囲:P.789 - P.798

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第1章開頭の對像
 如何なる腦腫瘍も未だ内科的には治癒せしめ得ないのであるから,我々は何とかして之等を1人でも多く外科的に治癒又は輕快せしめねばならない。中田,荒木,田中淸水等諸教授によりDandyCushingの流れを汲む近代腦外科が我國に輸入されてやがて20年にもなろうとしているのに,我國では,今日迄尚大多數の腦腫瘍患者が希望もなく暗から暗に葬られて來た。確かに我國の腦外科は米獨佛等に遲れて緒に就きはしたであろうが前記大先覺の開拓者的努力に依り,戰後驚くべき發展を示し,腦神經外科學會の如きも逐年,夥しい會員を加え,盛況の一途をたどつて居り,神經學を身につけた眞の腦外科醫の先生達の手術を目のあたり見學して來た私共には,腦外科はも早夢ではなく,又,小手先丈の技でもなく,理路整然,正確な診斷に從つた,最も體系立つた學問であり今日に於ては,術前に腫瘍の形大さ,擴り,病理診斷迄も立てた上,豫後迄も,既に先人の精細な記録と經驗により見通しての上で,なされる程に立到つたので,多くの場合,何等の危懼なく,又腦腫瘍の中でも是々は當然手術を第1に考えるべきであると正當な判定に從つて開頭手術に立向う迄に進歩した臨床醫學となつている。然し乍ら,現今私の知つている限り,甚だ多くの醫人が,又時には大學臨床に於てさえも,腦外科手術を極端に恐れ,依然としてX線療法のみに終始し,内科,精神神經科,眼科等に於ても徒らに失明を見送つているのである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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