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特集 眼科臨床の進歩Ⅱ 緑内障
房水流出の臨床的計測
著者: 大橋孝平1
所属機関: 1慈惠醫科大學眼科
ページ範囲:P.881 - P.889
文献購入ページに移動 房水流出に關する臨床的の研究は近來一層盛んであつて,Goldmann氏は眼壓と前毛樣體靜脈壓との差即ち落差を房水流出壓と稱し,正常では平均7.2mmHgであるとし,Loh'ein氏は正常の流出壓を4.2mmHgとした。著者及び堀田等は既報の樣な生體人眼の前毛樣體靜脈(以下CVとす)及び渦靜脈(以下VVとす)の血壓計測法を應用して,正常眼で眼壓とCVとの落差を臨床的に計測して見たが,この値は非常に個人差があつて時間的にも變動し,時に正號,零又は負號を示し,Goldmann氏の流出壓なるものは血壓同樣に常に動揺の甚しいものであることが判つたが,これはAmsler (1931)氏も述べた樣に眼壓と云うものは常に動揺し症例の2/3は3〜16mmHgの變動を示すとした事にも一致している。そこで眼球を一定條件下で壓迫して除壓し直ちに之を計測して見ると眼内血管が擴張を示すと共に,このCV落差は明かに減少して,常に殆んど一定の値を示すことがCV及び眼内血管徑の計測の上からも判明した。これは眼球を壓迫して房水流出を促進させた結果,除壓直後に房水排出の減少する爲であつて落差を逆に考えると,除壓直後ではCV壓と眼壓との差は恰度房水産生と差し引いた房水排出度を示すことになる。そこで須田氏等の方法に從つて眼球を50瓦10分間壓迫した場合は,除壓後30分で房水産生のために正常では眼壓はほぼ原壓に復帰して,CV落差もほぼ初壓に復帰するのである。
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