文献詳細
文献概要
特集 第6回日本臨床眼科学会講演集(普通講演)
(40) Trachomaの頻回感染による廣義免疫の研究(豫報)
著者: 筒井純1
所属機関: 1岡山大學醫學部眼科教室
ページ範囲:P.176 - P.180
文献購入ページに移動 從來Trachoma (以下Tr.)には,免疫は認められて居ない。從つて感染し得る樣な材料さえ接種されれば,何回でも發病すると云われている。こうした場合に,潜伏期,症状,包括體等が如何に變化するものかについては,未だ實驗的研究は行われていない。近來Tr.患者の血清中に,僅かながらTr virusに對する中和抗體やγ-globulinの増加を認めている人もある。從つて,廣い意味での免疫現象は,幾分存している樣に思われる。
私は先に,慢性Tr.の多くの症例にVirusの量が非常に尠くなつていて,殆んど零に近い状態になつている事を人眼接種實驗によつて明らかにし,低Virus Tr.と呼ぶ事にした。慢性Tr.にVirus量が低下して來る事はGrossfeld等によるTr.の經過と包括體數の研究からも實證されている。即ちTr.に感染した初期即ち急性期に於ては,包括體は急激に増加するが,慢性期になつて來ると除々に其の數を減じ終には殆んど出なくなつてしまう。こうした包括體陰性のTr.は,症状鳳かなり存しても病原性は殆んどない。かゝる事實や臨床的な觀察からTr.にも免疫現象があつて,その爲にVirus量が減じて行くのではないかと云う事が考えられる。
私は先に,慢性Tr.の多くの症例にVirusの量が非常に尠くなつていて,殆んど零に近い状態になつている事を人眼接種實驗によつて明らかにし,低Virus Tr.と呼ぶ事にした。慢性Tr.にVirus量が低下して來る事はGrossfeld等によるTr.の經過と包括體數の研究からも實證されている。即ちTr.に感染した初期即ち急性期に於ては,包括體は急激に増加するが,慢性期になつて來ると除々に其の數を減じ終には殆んど出なくなつてしまう。こうした包括體陰性のTr.は,症状鳳かなり存しても病原性は殆んどない。かゝる事實や臨床的な觀察からTr.にも免疫現象があつて,その爲にVirus量が減じて行くのではないかと云う事が考えられる。
掲載誌情報