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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科7巻3号

1953年03月発行

文献概要

銀海餘滴

ペニシリン目藥

著者: 中泉

所属機関:

ページ範囲:P.253 - P.253

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 市販のペニシリン目藥というものは隨分たくさん出て來た。種類が多くなると同時に隨分たくさん素人の間で使用される様になつた。醫師の指示により云々と書いてあるが,そんな事は日本では全然馬の耳に念佛である。英國,米國などでは,醫師の指示によりと書いてある藥品は,中々素人にすぐには藥屋が賣らないそうである。日本より留學した某教授の醫學博士がペニシリンを買おうとしたが,ロンドンで遂に藥屋が賣つてくれなかつたという事である。
 只今,東京では,眼科醫を訪れる患者の3分の1は,醫者に來る前にペニシリン目藥をつけている。素人自身も「ペ」目藥を買いに行つてつけましたというのもあるし,藥局へ行つて眼が惡いがと話したら,これをくれたといつて「ペ」目藥を持つているのも澤山ある。ところが市販の「ペ」目藥はカブレルものが澤山ある,眼瞼縁炎の様な皮膚炎の様なものを起すのである。カブレを起しているのを見れば大抵「ペ」目藥を持つている。原因は中に入つているホモズルファミンかと思つたら,そうばかりでもないらしい。ホモズルの入らぬものでもカブレルのがある。軟膏にするワゼリンが惡いらしい。チェスブルーワゼリンを使えば問題はないのであるが,これが無いらしい,藥局方の白色ワゼリンを使つてそれが惡いらしい。要するに,何が原因かわはつきりしないが市販のものはカブレていけないというのは,事實である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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