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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科7巻5号

1953年05月発行

文献概要

臨床實驗

本邦人高年者網膜血管に關する研究(第3報)—本邦人高年者網膜中心動脈血壓に就て

著者: 樋渡正五1

所属機関: 1東京大學醫學部眼科教室

ページ範囲:P.384 - P.392

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 網膜血管は腦血管の一部であり,且つ同一動脈から分岐するので,網膜血管の硬化状況や,その血壓測定から,腦血管の状態を推定しようとする研究が行われ,之迄の研究の結果は,大部分が高血壓と全身血管硬化状態が,網膜血管の變化の程度及び網膜血管血壓に對して可なり密な關係を持つという事を示している。然し之等多數の研究は高血壓症や動脈硬化症とかいう特定の者を對象とし所謂高年者の立場から研究したものは極めて稀で殊に高年者の網膜血管像と全身血壓及び網膜中心動脈血壓との關係を論じたものは皆無のようである。
 人間の血壓は其の平均血壓を標準とする時,年齡の増加に從つて大體上昇してゆく事は良く知られて居り,高年者は一般に血壓が亢進していると考えられているが之が具體的詳細は高年者を對象とする研究には極めて重要である。血壓の測定には之迄上膊動脈血壓測定が用いられて來た。然し全身血壓の状態を單に上膊動脈血壓測定のみで豫測する事は決して充分ではない。近年末梢血管血壓の測定が實驗的に臨床的に企てられ,部位として爪縁,角膜輪部,網膜血管等があるが,之等の中で最も明白に肉眼を以て血管を窺い得るものは只網膜血管あるのみで,且つ網膜血管は腦血管の一部故,網膜血管の性状の變化,網膜血管血壓の測定が如何に重要性を持つかは自ら了解される。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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