文献詳細
臨床實驗
文献概要
老視眼鏡を選定する場合,患者の明視の距離を眼前何糎に定めて検眼すべきかと云うことは,私達眼科臨床家にとつて一つの重要な課題である。實際,患者に適當した明視の距離を選ばないと,充分明視し得る近用眼鏡を與えても,患者は眼精疲労の爲,長時間裝用に耐えない場合が屡々ある。
明視の距離は通常眼前25〜30cmとされている。しかし仲々例外もあることは,日頃經驗するところである。元來此の距離は,單に經驗上得られた數値であるが,中村康教授は例外の原因として,裝用者の職業的な使用目的の差異を考えておられる樣である。私達も此の樣なことを考慮して,検眼選定しているのであるが,必ずしも夫のみでないことは,注意して検眼していると,全く同種同樣な職業の人々の内に於ても,その明視の距離にかなりの個人差のあることに氣付くのである。夫故に老視眼鏡を選定するに當つて,特殊な職業的要因を除けば,「普通明視の距離は眼前30cmに求むべきである。」と單に固定して考えておくと,不適當な場合がおこり得るのではなからうか。
明視の距離は通常眼前25〜30cmとされている。しかし仲々例外もあることは,日頃經驗するところである。元來此の距離は,單に經驗上得られた數値であるが,中村康教授は例外の原因として,裝用者の職業的な使用目的の差異を考えておられる樣である。私達も此の樣なことを考慮して,検眼選定しているのであるが,必ずしも夫のみでないことは,注意して検眼していると,全く同種同樣な職業の人々の内に於ても,その明視の距離にかなりの個人差のあることに氣付くのである。夫故に老視眼鏡を選定するに當つて,特殊な職業的要因を除けば,「普通明視の距離は眼前30cmに求むべきである。」と單に固定して考えておくと,不適當な場合がおこり得るのではなからうか。
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