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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科7巻9号

1953年09月発行

文献概要

臨床講義

白内障摘出術に於ける角膜辨を下方に作る方が適當な症例に就て

著者: 須田經宇1

所属機関: 1熊本大學

ページ範囲:P.527 - P.530

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 白内障を摘出する場合現在は原則として角膜輪部上方に切開を加えている。然しながら白内障摘出術の歴史をひもどいてみると,初めは下方に切開を加えたようである。摘出術の歴史上有名なるはJacques Daviel(1745,4.2.)のHopital du Saint-Espiritに於ける水晶體摘出である。この際J. Davielは先ず壓下法を行い失敗し,遂に角膜下縁を鎗状刀で切開し,水晶體を眼球外に摘出したのである(同氏以前にも水晶體摘出したものあり,同氏以前の摘出術歴史を知ることは同氏の成功の鍵を察知することが出來るのであり是非文献2)の論文を讀まれたし)。その後角膜切開の位置,大さ,型等は幾多の學者により研究され(文献1—b,3—a,參照),遂に現在一般に行われている樣に通常は角膜輪部上方に切開を加える樣になつたのである。何故切開を上方に加えるようになつたのであろうか,之に關してElschnigは下方へ切開をおくと,下眼瞼が鞏膜傷縁を直接後方へ壓迫する點,手術直後不用意の眼球運動の際に結膜辨が容易に移動し得る點,下眼瞼縁が直接切傷に挾まり,術創を哆開され得る場台が考えられる點,亂視をより強く惹起せしめる點等の不利の諸點をあげている。その他若し脱出を防ぐための虹彩切除を施行する場合は上方切開の方が有利である。
 然しながら下方に切開を加えることが有利な場合がある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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