文献詳細
文献概要
連載 蛍光眼底造影クリニカルカンファレンス・第1回【新連載】
網膜静脈分枝閉塞症 急性期
著者: 長谷川泰司1 飯田知弘1
所属機関: 1東京女子医科大学眼科学教室
ページ範囲:P.78 - P.83
文献購入ページに移動網膜静脈分枝閉塞症(branch retinal vein occlusion:BRVO)は網膜動静脈交叉部で動脈による静脈圧排によって乱流が生じ,血栓が形成されることで網膜静脈の分枝が閉塞すると考えられている。典型例では刷毛状の網膜表層出血がみられ,軟性白斑がみられる症例も多い。高血圧,動脈硬化などの生活習慣病患者に多くみられる疾患である1)。
急性期BRVOによる視力低下の原因として黄斑浮腫が重要である。急性期BRVOでは静脈閉塞によって,血管透過性亢進作用をもつ血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)の濃度が上昇2)し,内側血液網膜関門が障害され黄斑浮腫を生じる。一方,陳旧期BRVOでは循環障害の結果として生じた毛細血管瘤や拡張蛇行した毛細血管などの器質的血管病変,つまり内側血液網膜関門の器質的破綻によって黄斑浮腫が生じる。陳旧期BRVOについては第2回で詳細に述べる。
参考文献
掲載誌情報