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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科70巻1号

2016年01月発行

文献概要

連載 目指せ!眼の形成外科エキスパート・第17回

霰粒腫治療は俺にまかせろ!—兄貴が語る霰粒腫治療指南

著者: 三戸秀哲1

所属機関: 1井出眼科病院

ページ範囲:P.84 - P.87

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はじめに

 霰粒腫(chalazion,複数形はchalazia)は,日常の眼科診療でよく遭遇する疾患です。当院でも瞼が腫れたとの主訴で来られた患者さんのほとんどが霰粒腫で,浮腫の強い症例でも瞼板にしこりを触知できます。しかし,霰粒腫についていまひとつよく理解できていない眼科医は多いようです。霰粒腫の原因は不明ですが,喫煙,ビタミンAの不足1),脂質の取り過ぎ,ニキビダニ2)などの関与が示唆されています。霰粒腫は放っておいてもいずれは自然吸収され,治癒する疾患です。ただし,自然吸収には数か月から時には数年かかることがあることは意外と知られていません。その間に炎症が強くなることがあったり(図1),瘢痕化により外反などの醜形をきたしたり(図2),乳幼児では乱視をきたすことによる弱視対策もしなくてはなりません。たかが霰粒腫と侮ることなかれ! 多くの複雑な要素を考えながら治療を行わなければなりませんが,霰粒腫が理解できると案外その診療は面白いものです。本稿をきっかけに霰粒腫の診療が楽しくなればと思います。

参考文献

1)Chen L, Chen X, Xiang Q et al:Prevalence of low serum vitamin a levels in young children with chalazia in southwest china. Am J Ophtahlmol 157:1103-1108, 2014
2)Liang L, Ding X, Tseng SC:High prevalence of demodex brevis infestation in Chalazia. Am J Ophthalmol 147:342-348, 2014
3)野田実香:眼瞼の創傷治癒—新生血管は悪者ではない.臨眼 69:781-786,2015
4)Ben Simon GJ, Rosen N, Rosner N et al:Intralesional triamcinolone acetonide injection versus incision and curettage for primary chalazia:a prospective, randomized study. Am J Ophthalmol 151:714-718, 2011
5)山下英俊:日本眼科学会の社会的なアピール:ホームページの現状と未来.日眼会誌 114:1007-1008,2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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