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連載 目指せ!眼の形成外科エキスパート・第17回
霰粒腫治療は俺にまかせろ!—兄貴が語る霰粒腫治療指南
著者: 三戸秀哲1
所属機関: 1井出眼科病院
ページ範囲:P.84 - P.87
文献購入ページに移動霰粒腫(chalazion,複数形はchalazia)は,日常の眼科診療でよく遭遇する疾患です。当院でも瞼が腫れたとの主訴で来られた患者さんのほとんどが霰粒腫で,浮腫の強い症例でも瞼板にしこりを触知できます。しかし,霰粒腫についていまひとつよく理解できていない眼科医は多いようです。霰粒腫の原因は不明ですが,喫煙,ビタミンAの不足1),脂質の取り過ぎ,ニキビダニ2)などの関与が示唆されています。霰粒腫は放っておいてもいずれは自然吸収され,治癒する疾患です。ただし,自然吸収には数か月から時には数年かかることがあることは意外と知られていません。その間に炎症が強くなることがあったり(図1),瘢痕化により外反などの醜形をきたしたり(図2),乳幼児では乱視をきたすことによる弱視対策もしなくてはなりません。たかが霰粒腫と侮ることなかれ! 多くの複雑な要素を考えながら治療を行わなければなりませんが,霰粒腫が理解できると案外その診療は面白いものです。本稿をきっかけに霰粒腫の診療が楽しくなればと思います。
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