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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科70巻10号

2016年10月発行

文献概要

特集 第69回日本臨床眼科学会講演集[8] 原著

対応に苦慮した生後4か月の乳児に発症した淋菌性結膜炎の1例

著者: 田辺芳樹1 成味知子2 高良由紀子3 田島靖久4 山本理恵5 高橋春男6

所属機関: 1浜松医療センター眼科 2ナルミ眼科 3高良眼科 4浜松医療センター感染内科 5浜松医療センター臨床検査科 6昭和大学付属東病院眼科

ページ範囲:P.1619 - P.1623

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要約 目的:診断と両親への対応に苦慮した淋菌性結膜炎の乳児の報告。

症例:自然分娩で4か月前に出生した女児が,眼瞼腫脹,眼脂,結膜充血,発熱で近医から紹介され受診した。

所見と経過:両眼に眼瞼腫脹と膿性眼脂があり,眼脂の鏡検でグラム陰性桿菌があった。淋菌結膜炎を疑い,セフトリアキソンの静注とセフメノキシム点眼を開始した。その翌日に解熱し,右眼の病変は消失し,2日後に両眼の所見はほぼ正常化した。眼脂の培養で,後日Neisseria gonorrhoeaeが分離された。その後の精査で,母親に患児受診の3日前に発症したと推定される淋菌性子宮頸管炎,父親に無症状の性風俗曝露歴があった。

結論:淋菌性結膜炎の再感染予防のために感染経路を特定することが重要であるが,両親への説明には細心の注意が必要であった。

参考文献

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2)鎌田研二・長岡義晴・小倉妙美・他:淋菌性尿道炎・外陰炎の学童3姉妹例.日本小児科学会雑誌111:1440-1441,2008
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4)花谷亜紀・塩田睦記・唐木克二・他:小児淋菌感染症の背景.性的虐待との関連性を考慮した1例.小児感染免疫24:82,2012
5)松本哲朗・野口靖久・田中正利・他:淋菌感染症,性感染症.診断・治療ガイドライン2011.2011ガイドライン委員会編:52-59,2011
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7)山元博貴・雑賀 威・保科眞二・他:淋菌感染症におけるセフトリアキソン(CTRX)耐性の1例.日本性感染症会誌21:98-102,2010
の抗菌薬感受性とペニシリン結合タンパク質2の解析.医学検査62:516-521,2013
9)松本哲朗:淋菌感染症と耐性淋菌.産婦人科治療92:845-847,2006
10)濱砂良一・松本哲朗:淋菌感染症について.泌尿器外科25:1771-1777,2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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