今月の表紙
後部円錐角膜
著者:
山口純1
寺崎浩子2
所属機関:
1北里大学病院
2名古屋大学
ページ範囲:P.1688 - P.1688
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症例は74歳,男性。運転時の見づらさや羞明,流涙などを訴え,近医より当院へ紹介され受診となった。視力は右0.6(1.0×cyl−1.50D 90°),左0.09(0.2×−3.50D)。両眼に円形の局所的な角膜の菲薄化が認められた。左眼は角膜中心に写真のような重度な所見がみられたが,右眼は角膜中心からやや外れた位置での軽度の発症であったため,視力が保たれていると思われる。発症時期などの詳細は不明であるが,麻疹による高熱の後遺症ではないかと疑われていたようで,それによる弱視の可能性も考えられる。眼圧は右13mmHg,左は非接触型・圧平式眼圧計ともに測定不可であった。また,軽度の白内障が両眼に認められたが,それ以外には特記すべきことはなかった。
撮影はTOPCON社製スリットランプSL-D7にNikon社製デジタルカメラD300を取り付けて行った。角膜後面の陥凹を記録するため,できる限り細いスリット幅の光を正面から当て,カメラポジションを耳側にして真横から撮影した。また,病態を際立たせるために背景照明を消し,感度を通常設定のISO800から3200に上げて撮影した。