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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科70巻12号

2016年11月発行

文献概要

臨床報告

遺伝カウンセリングにより患者の不安が軽減された網膜色素変性の2症例

著者: 平見恭彦1 荒井優気1 髙橋政代1 栗本康夫1

所属機関: 1先端医療センター病院眼科

ページ範囲:P.1795 - P.1801

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要約 目的:遺伝カウンセリングにより網膜色素変性の不安が軽減した2症例の報告。

症例:1例は54歳女性で,幼少時から夜盲があり,35歳頃に網膜色素変性と診断された。現在の矯正視力は右0.7,左0.09で,両眼に求心性視野狭窄と典型的な眼底病変がある。両親が血族結婚であり,常染色体劣性遺伝と推定された。他の1例は52歳女性で,44歳頃に視野狭窄を自覚し,網膜色素変性と診断された。現在の視力は左右眼とも0.1である。母と妹に網膜色素変性があり,表現度の低い常染色体優性遺伝と推定された。

経過:第1例は患者の娘と孫,第2例は長女の子に網膜色素変性が発症する可能性を心配していた。両症例とも,娘はすでに成人であり,自覚症状がないので,孫の世代に発症する可能性が小さいことを説明し,本人の不安が軽減された。

結論:遺伝カウンセリングにより,網膜色素変性患者の子孫に発症する危惧が軽減され,心理的サポートとして有用であった。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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